組織で属人化を防ぐには?現場で効く7つの対策

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「この業務はAさんしか分からない」
「担当者が休むと仕事が止まる」
「引き継ぎしたのに、結局前任者へ質問が戻ってしまう」
こうした状態に悩む企業は少なくありません。これは単なる人手不足ではなく、属人化の問題です。

属人化とは、業務の進め方や判断基準、必要な情報が特定の個人に集中し、その人がいないと仕事が回らなくなる状態を指します。

属人化を放置すると、生産性の低下・教育の停滞・ミスの増加・離職リスクの上昇につながります。一方で、正しく対策すれば、業務は安定し、組織全体の生産性も高まるでしょう。

この記事では、属人化が起こる原因と、組織で実践できる具体的な対策をわかりやすく解説します。

属人化とは?よくある状態

属人化というと、「仕事ができる人に業務が集まっている状態」と思われがちです。
もちろんそれも一部ですが、本質はそこではありません。

本当の属人化とは、業務の知識・判断・対応方法が個人の頭の中にしか存在していない状態です。

たとえば、以下のようなケースです。
・クレーム対応をベテラン社員しか判断できない
・顧客ごとの対応履歴が担当者しか知らない
・月次処理のやり方を一人しか理解していない
・システム設定を担当者しか触れない
・営業ノウハウが個人の経験頼みになっている

この状態では、担当者が休職・退職・異動した瞬間に、大きな問題が起こります。

属人化が組織にもたらす3つの問題

1. 生産性が下がる

属人化しており、担当のひとりに聞かないと仕事が進まないという状況であれば、当然組織の生産性は下がります。

仕事のたびに、
・担当者へ確認する
・担当者の判断待ちになる
・情報を探す
・同じ質問が繰り返される
となると、仕事が進まず無駄な時間が増えます。

つまり「一人の能力に依存している」という状態は、実際には組織全体のスピードを落としているのです。

2. 教育が進まない

属人化した組織では、新人育成も進みにくくなります。
ひとりしか指導ができないので、その担当者のリソースに空きがないと教育の時間をとることができません。

時間がないため教育に時間をかけることも難しくなり、
「見て覚えて」
「その都度聞いて」
といった指導になってしまうことも。こうなると育成の再現性がなく、結果として新人が戦力化するまで時間がかかります。

3. 離職リスクが高まる

属人化された人ほど、
・仕事が集中する
・休めない
・プレッシャーが大きい
・周囲が頼りすぎる
という状態になりやすく、疲弊しやすくなります。

そうなると体調を崩して休みが増えてしまいますし、休職に入ってしまう可能性もあります。急に休みに入ってしまったら、誰がその人の担当していた業務を引き継げますでしょうか?属人化していたら誰も業務を把握できないので、仕事が止まってしまうことも考えられます。

メンタル面でも追い込まれることになるので、離職リスクは避けられないでしょう。

属人化が起こる本当の原因

手順ではなく判断が個人依存している

マニュアルがあっても属人化する会社は多いです。
その理由は、手順は書いてあっても、判断基準が共有されていないからです。

たとえば、
・どの顧客を優先するのか
・どこまで値引きしてよいのか
・どのクレームは責任者判断なのか

こうした判断が個人依存だと、結局その人に頼ることになります。

できる人に仕事を集める文化

「早いからお願い」
「詳しいから任せよう」
この積み重ねで、特定の人に業務が集中します。

短期的には効率的に見えても、長期的には大きなリスクです。

情報共有が口頭中心

「あの人に聞けば分かる」
「昔からそうしている」
「口頭で伝えている」

口頭で済むのであれば早いし楽なので、このような文化を変えることはなかなかできません。
しかし口頭での情報共有のみに頼っていると、知識が蓄積されません。

属人化対策7選

1.属人化している業務を洗い出す

まずは現状把握です。以下の業務をリストアップしてください。

・特定の人しか対応できない仕事
・休むと止まる仕事
・質問が集中する仕事
・引き継ぎに苦労する仕事

見える化しない限り、改善は進みません。

2.手順だけでなく判断基準を言語化する

ここが最重要です。たとえば、

× 顧客には丁寧に対応する
〇 初回クレームは交換提案、再発クレームは責任者対応

× 優先案件から進める
〇 売上影響額・納期・顧客ランクで優先順位を決める

このように、誰でも同じ判断ができる状態を目指します。

3.副担当制にする

主担当1人だけではなく、主担当と副担当を決めておくと、引き継ぎリスクが大きく下がります。

最初から完璧に理解していなくても構いません。
少しずつ関わることが重要です。

4.ナレッジを共有財産にする

個人の知識を会社の資産に変えます。たとえば、

・よくある質問集
・トラブル対応事例集
・提案資料テンプレート
・成功事例共有
などです。

「知っている人が強い組織」ではなく、「誰でも学べる組織」に変えていきます。

5.会議・承認フローを見直す

属人化は管理職にも起こります。

・部長しか承認できない
・社長しか判断できない
・一人の確認待ちで止まる

この状態では、現場が止まります。承認権限の見直しや判断基準の共有が必要です。

6.OJT任せの育成をやめる

教育担当によって教え方が違うと、育成も属人化します。
研修資料や育成チェックリストなどの資料を整備し、誰が教えても一定品質になる仕組みが重要です。

7.属人化を評価しない

意外と多いのが、「あの人しかできないからすごい」と評価してしまう組織です。
それでは再発してしまいますし、属人化の文化が終わりません。

本来評価すべきは、
・仕組み化した人
・育成した人
・再現性を作った人
です。

属人化を防ぐために言語化したい3つのポイント

1. 判断基準

「この案件はうまくいきそう」「あの提案は通らないかもしれない」。ベテラン社員はこういった判断を瞬時に行います。しかし、なぜそう判断したのかを説明できないケースが多いのです。

「私は長年の経験から、お客様の表情を見ただけで興味があるかどうかわかります」という営業マンがいます。しかし、これでは後輩は何を見て判断すればいいのかわかりません。

2. プロセス

「まずこれをして、次にあれをする」。仕事の手順は頭の中では明確なのに、それを言葉にできないことがあります。

ある経理部門のベテランは、月次決算の際に必ず確認する項目があります。しかし、それは明文化されておらず、「私の中でのチェックポイント」として処理されていました。その方が退職した後、後任者が重要な項目を見落とすトラブルが発生しました。

3. 価値

自分の仕事の価値を相手に伝えられないことも多いです。「私がいないと回らない」と思っていても、それが組織にとってどんな価値があるのかを説明できなければ、その仕事の重要性は伝わりません。

言語化することで得られるメリット

自分の時間を取り戻せる

仕事を適切に分担することで:

  • 新しい提案に時間を使える
  • 自己啓発の時間が作れる
  • ワークライフバランスが改善する

チームの成長につながる

  • メンバーのスキルが向上する
  • 多様な視点が入ってくる
  • 組織としての強みが増える

自分自身も成長できる

  • 自分の仕事を客観視できる
  • 改善点が見えてくる
  • 新しい挑戦ができる

まとめ

属人化が起こると、多くの会社は人に原因を求めます。
・あの人しかできない
・教えてくれない
・忙しすぎる
しかし本当の原因は、人ではなく仕組みです。

まずは自社で、「この仕事、担当者が休んだら止まるか?」という視点で見直してみてください。
そこに、最初の改善ポイントがあります。

言語化は簡単ではありません。しかし、この作業を避けていては、いつまでも「自分にしかできない」という状態から抜け出せません。まずは小さな部分から、自分の仕事を言葉にしていきましょう。それは、あなた自身と組織の成長につながる重要な一歩となるはずです。

この記事を書いた人

木暮太一 写真

木暮太一

(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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