組織が学習するための共通言語|自走するチームの秘密

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「なぜうちの会社は、みんなバラバラな方向を向いているんだろう……」。リーダーが思い描くビジョンがメンバー全体に伝わらないままでは、組織の成長は見込めません。

共通言語を構築することで、組織のコミュニケーションが活性化し、自走するチームの育成が可能になります。この記事を読めば、コミュニケーションが改善し、チーム一人ひとりが自律的に行動できます。

共通言語の構築は、自走するチームを育てる強力な手段です。粘り強く継続することで、組織全体が一丸となって成長し、ビジネス成功への道を切り開けます。

共通言語とは組織内で共有された言葉

共通言語とは、組織内で共有される独自の言葉や表現のことです。これは単なる専門用語ではなく、組織の価値観や目標、方法論を反映した言葉になります。

例えば、あるIT企業では「顧客第一」という言葉を「常に顧客の立場に立って考え、提案する」と定義しています。この定義を全社員が共有することで、日々の業務における判断基準がより明確になります。

共通言語がもたらす3つの効果

  1. コミュニケーションが円滑化:複雑な概念や抽象的なアイデアを簡潔に伝えられ、ミーティングの効率が向上する
  2. 組織の一体感:メンバー間の理解が深まり、信頼関係が強化されチームが共通の目標に向かって動き出せる
  3. 意思決定が加速:共通の基準や価値観が明確になることで、各メンバーが自律的に判断を下せるようになる

これらの効果により、組織のパフォーマンスと生産性が大幅に向上します。

共通言語の設定方法を解説

共通言語を定めるために必要な、言語化の4法則と価値の言語化という2つの方法を解説します。

言語化の4法則

共通言語を構築する際は、以下の4つのステップを経て、共通言語を設定します。

  1. 目的の明確化:何を達成したいのかを明確にする
  2. 項目の洗い出し:目的達成に必要な要素を特定する
  3. 定義の作成:各要素を具体的に定義する
  4. 実践への当てはめ:具体的なシチュエーションに当てはめる

この4法則を実践する際はチーム全体で議論し、合意を得ることが重要です。定義の作成段階では、具体的かつ測定可能な指標を設定することで、明確でわかりやすい共通言語を設定できます。

価値の言語化

組織が提供する価値を明確に言語化することも重要です。価値の言語化には以下の3つの視点があります。

  • 変化を与える
  • テンションを上げる
  • 強いこだわりを示す

「変化を与える」は顧客や社会にどのような変化をもたらすかを表現し、「テンションを上げる」はどのように感動や驚きを提供するかを示します。そして「強いこだわりを示す」は他社と差別化できる独自の強みを言語化することです。これらの価値を言語化し、全員で共有することで日々の業務に意味と目的を持たせ、強い組織を作れます。

自走するチームの育成手順

共通言語を活用して自走するチームを育成するための具体的な方法は以下の3つです。

1. 明確な目標設定

目標を言語化し、チーム全員で共有します。大きな目標を細分化し、具体的なアクションプランに落とし込むことで、目標達成に直結した仕事が可能です。

2. 継続的なフィードバック

共通言語を使ったフィードバックを定期的に行います。これにより、メンバーは理解しやすいフィードバックを受けられ、改善がスムーズに進みます。

3. 信頼性の言語化

チーム内の信頼関係を強化するために、進捗状況や成果を定期的に共有することが重要です。成功事例を言語化して共有することで、チーム全体の士気が高まります。

共通言語の実践例

ここでは、あるWebサービス企業の共通言語導入事例を紹介します。得られた成果、直面した課題とその解決策の事例です。

Webサービス企業での導入事例

あるWebサービス企業は、新しい顧客管理システムの開発プロジェクトを立ち上げました。しかし、部門間のコミュニケーション不足により、プロジェクトの進行が遅れがちに。そこで共通言語の導入を決定します。

まずはプロジェクトの目的を「顧客満足度No.1の管理システム構築」と定めました。この目的達成に必要な項目として「使いやすさ」「速度」「安全性」を設定します。各項目に設定した定義は以下のとおりです。

  • 使いやすさ:初心者でも30分以内に基本操作をマスターできる
  • 速度:どの機能も3秒以内に結果を表示する
  • 安全性:業界最高水準の暗号化を採用し、月1回のセキュリティチェックを実施する

成果と改善点

定義をもとに、デザイナーは「初心者でも30分以内に基本操作をマスターできる」UIを設計し、エンジニアは「3秒以内に結果を表示する」コードを描きます。その結果、以下のような成果が得られました。

  1. コミュニケーションが円滑になり、会議時間が短縮された
  2. 部門間の認識のズレが減少し、手戻りが減少した
  3. プロジェクト全体の進行スピードが向上した

一方で、導入初期には新しい言葉に慣れるまでに時間がかかるという課題もありました。特に、「使いやすさ」の定義が抽象的だという指摘があったのです。

この課題に対しては2週間に1度の振り返りミーティングを設け、定義の見直しと具体例の追加を行いました。例えば、「使いやすさ」の定義に「全ての操作を3クリック以内で完了できる」という具体的な指標を追加しました。

このように、共通言語を導入し、継続的に改善することで、Webサービス企業は効率的に高品質なシステム開発を実現したのです。

まとめ:共通言語で組織を変える

共通言語の構築は、組織のコミュニケーションを活性化し、自走するチームを育成するための強力なツールです。この記事で紹介した方法を参考に、まずは組織の目的を明確にし、必要な項目を洗い出すところから始めてください。共通言語を活用することで、組織全体が一丸となって成長し、ビジネスの成功への道を切り開けます。

この記事を書いた人

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木暮太一

慶應義塾大学 経済学部を卒業後、富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て独立。
1万部売れればヒットといわれる業界で、平均7万部(直近2年)の実績を誇る「連続ベストセラー作家」。
出版社を10年経営しながら得た出版ノウハウは「業界No1」と圧倒的な評価を得ており、プロデュースした著者の書籍は2000冊を超えている。

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