「うちの会社は何をしたら評価されるのかわからない」という気持ちで働く社員は、高確率で転職してしまいます。「優秀な社員から辞めていく」というのは、人事領域の“あるある”ですね。そして、多くの企業が優秀な人材の獲得に苦戦しています。 最大の障壁となっているのが、曖昧な評価制度です。業務範囲が不明確で、何をすれば評価されるのがわからない状況では、優秀な人材を引き付けるのは困難です。
この記事では、良い人材を獲得するための評価制度のポイントを解説します。良い人材獲得のためには、前提として評価制度を明確にする必要があります。最後まで読めば、評価制度を明確にするメリットと、良い人材獲得に効果的な制度の作り方が理解可能です。
曖昧な評価制度が人材獲得の壁になっている
良い人材獲得のためには、曖昧になってしまっている評価制度の見直しが必要となります。かつては曖昧な評価制度でも人はやめませんでした。でも今は違います。いまは、働き方の多様化や若者の価値観の変化によって、従来の曖昧な評価では通用しなくなってきているのです。
明確な評価制度は、単なる人事施策ではなく、企業の競争力を左右する重要な要素です。
評価制度の明確化がもたらす3つのメリット
評価制度を明確にすることで、企業には以下の3つの大きなメリットがあります。
- 優秀な人材の獲得と定着
- 社員のモチベーション向上
- 組織全体の生産性アップ
優秀な人材の獲得と定着
明確な評価基準があることで、求職者のキャリアパスが見えやすくなり、優秀な人材を引き付けやすくなります。人材の定着率を向上させるには、公平な評価が必要です。
社員のモチベーション向上
何をすれば評価されるのかが明確になれば、社員は目標に向かって積極的に行動することが可能です。評価制度の明確化は、直接的なモチベーション向上につながります。社員のやる気は、企業の成長に直結する要素です。
組織全体の生産性アップ
評価基準が明確になることで、組織の目標と個人の目標が連動し、全体としての生産性が向上します。無駄な業務や重複した作業も減少し、社員満足度も高まります。
業務範囲の明確化・言語化のポイント
業務範囲を明確にするには、具体的な職務記述書の作成が不可欠です。仕事の範囲と、何をしてもらいたいか、特定の職位に求められる責任と権限を明確に記述したものが必要なわけです。作成時には、具体的な業務内容と期待される成果を明記し、必要なスキルや経験を明確にします。
KPI(Key Performance Indicator)の設定と活用も効果的ですね。KPIを設定する際は、数値化できる指標を選び、組織の目標と連動させましょう。定期的な見直しと調整を行うことで、常に適切な評価指標を維持できます。
業務範囲の明確化には、チーム内でのオープンなコミュニケーションも欠かせません。定期的な1on1ミーティングの実施やタスク管理ツールの活用、チーム内での役割分担の可視化などの取り組みが効果的です。業務範囲を明確化する施策により、各メンバーの責任範囲が明確になり、チーム全体の生産性向上につながります。
評価基準を明確化するための5つの要素
評価基準を明確にするには、以下の5つの要素を考慮する必要があります。
- 成果評価:数値化できる指標を設定し、具体的な成果を評価(例:営業職なら売上高や新規顧客獲得数)
- プロセス評価:成果だけでなく、努力や取り組み姿勢も評価(例:困難な状況でも粘り強く取り組んだかなど)
- スキル評価:職務に必要なスキルを明確にし、習得度合いを評価(例:技術職であれば特定の言語やツールの習熟度)
- 行動評価:会社の価値観に沿った行動をとっているかを評価(例:他のメンバーへのサポート行動など)
- 成長評価:個人の成長度合いを評価(例:新しいスキルの習得など)
上記の要素をバランスよく組み合わせることで、多角的で公平な評価が可能です。
評価制度の導入・運用する際のポイント
評価制度を成功させるためには、トップダウンとボトムアップのバランスが重要です。経営陣の強いコミットメントと、現場の声を反映させるボトムアップのアプローチをバランスよく取り入れます。現場の声を反映させることにより、効果的な評価制度が実現します。
しかし、評価制度は一度作って終わりではありません。定期的な見直しと改善を行い、常に最適な状態を保つ必要があります。事業環境や組織の変化に合わせて、柔軟に制度を修正していくことが大切です。
評価結果のフィードバックも重要です。評価結果を従業員にフィードバックする際は、具体的な事実にもとづいて説明します。改善点だけでなく良かった点も伝え、今後の成長に向けたアドバイスを行うことが効果的です。適切なフィードバックにより、従業員の成長と組織の発展につながります。
まとめ:評価制度の明確化が人材獲得の近道
評価制度を明確にすることは、優秀な人材を獲得し、組織を活性化させるための重要な施策です。業務範囲と評価基準を明確に言語化し、多角的な評価要素を取り入れ、定期的な見直しとフィードバックを行うことが重要です。
明日からできる具体的なアクションとしては、以下の行動が有効です。
- 現在の評価制度の問題点を洗い出す
- 従業員アンケートを実施して現場の声を集る
- 経営陣を交えた評価制度改革プロジェクトを立ち上げる
評価制度の明確化は、一朝一夕には実現できません。しかし、地道な取り組みこそが、長期的な企業の成長と競争力強化につながる重要な投資となります。今日から、一歩ずつ着実に改革を進めていきましょう。
この記事を書いた人
木暮太一
(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。
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