「言語化」があらゆるビジネスの課題を解決する

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なぜ言語化で解決するのか?


「もっとクオリティを上げよう」 「お客様目線で考えて」 「組織全体の底上げが必要だ」

こんなセリフが社内でよく聞かれますよね。

でもじつは、これらのフレーズはほとんど意味を持っていません。この言葉を聞いて「何をすればいいのか」がすぐにわかる人は、ほとんどいないと思うんですよね。

ぼくは長年、多くの企業でコンサルティングをしてきましたが、ほとんどのビジネス課題は「言葉の不明確さ」から生まれています。今回は、なぜ言語化があらゆるビジネス課題を解決できるのか、現場ですぐに使える方法とともにお伝えします。

◆言語化とは「明確化」である

以前、ある大手メーカーで商品開発のプロジェクトに関わることがありました。みんな一生懸命にプロジェクトに向き合っていましたが、なかなか進捗していませんでした。その根本的な原因は、社内で「もっとクオリティを上げよう」という言葉が独り歩きしていたことです。

お互いにあいまいな言葉を使っていたので、考えることがバラバラになり、施策もバラバラになっていたのです。

営業は「お客様の要望に100%応えること」、
開発は「最新技術を詰め込むこと」、
宣伝部は「ブランドイメージに合うデザイン」と、それぞれが違う「クオリティ」を思い描いていました。

結果、プロジェクトは迷走していました。開発チームは最新技術を詰め込むことに注力し、コストは上がる一方です。営業は顧客の細かな要望に応えようとして仕様は複雑化させていきました。お互いに一生懸命なのに、全体としては空回りしていたんです。

この問題は「クオリティ」という言葉があいまいだったからです。そしてそれを言語化(明確化)することで解決しました。

「この商品において『クオリティが高い』とは、初めて使う人でも30分以内に使いこなせる状態のこと」と定義したのです。これだけで、各部門の動きが一気に変わりました。

◆ビジネス課題の本質は「不明確さ」にある

別の例を紹介します。

ある企業の新人教育で「主体的に動ける人材を育てる」というテーマがありました。
研修担当者は「考える前に動け」と指導してましたが、現場の上司は「もっと慎重に考えろ」と指示していました。こうなると新入社員は板挟みになって、どちらの言うことを聞けばいいのかわからなくなりますね。

両社の言っていることは一理あります。しかし一理あるがゆえに何をしていいかわからなくなりますね。そこで「主体的」を明確に言語化してみます。

「主体的」という言葉を掘り下げてみると、以下の3つの状態を指していることがわかりました。

締め切りの3日前までに、作業の進捗を上司に報告できている
資料作成時、必要なデータを自分で調べて入手できている
上司に相談する際、自分なりの解決案を2つ以上用意できている

このように明確にしたとたん、新入社員は何をすればいいのかわかり、行動が変わっていきました。

◆言語化で解決できる3つの領域

ビジネスで必要な言語化は、大きく分けて3つの領域に分類されます。

1. 価値の言語化

新商品の企画会議でよく使われる言葉があります。

「他社にない独自の特徴を出そう」 「付加価値を付けよう」 「差別化要因を作ろう」

ただ、これらの言葉は実は何も示していません。ある食品メーカーで面白い事例がありました。新商品として高級な食材を使ったスイーツを企画したんです。確かに他社にない特徴的な商品でした。でも、売れませんでした。

それは「お客様にとっての価値」が言語化できていなかったからです。同じ商品を「休日の昼に、家でちょっと贅沢な気分を味わえる」という価値で再定義したところ、売れ行きが変わりました。

価値が明確になったことで、パッケージや広告も変わり、お客様に響くようになったのです。

2. 行動の言語化

「お客様第一で行動してください」 「チームワークを大切に」 「品質に気を配って」
こういった言葉、よく使いますよね。

でも、これらの言葉で具体的な行動は示せていません。

ある小売店チェーンでは、「お客様第一」を以下のように言語化しました。

・レジに並んでいるお客様が3人以上になったら、すぐにサポートに入る
・商品の場所を聞かれたら、その場所まで一緒に行く
・お客様が迷っている様子だったら、5秒以内に声をかける

このように具体的な行動にまで落とし込んだ結果、顧客満足度が大きく向上したそうです。

3. 目的の言語化

「なぜその仕事をするのか」。この問いに明確に答えられない仕事が、実は組織の中にたくさん残っています。

ある企業では、毎週月曜の朝一に、全部署から「週次進捗報告」が経営企画部に提出されていました。膨大な資料作りに多くの社員が日曜出勤までして対応していました。でも、なぜその資料が必要なのか、誰も明確に答えられないんです。

10年前に当時の社長が「会社の状況を把握したい」と言ったことがきっかけで始まった習慣のようでしたが、今では誰も読んでいない資料を作り続けていたわけです。

ここで、「目的」を改めて言語化します。たとえば、

「各部署から目標が達成できなくなる可能性を発見し、経営層が人員配置の判断を早期に行う」

としました。すると、必要な情報は週次ではなく月次で十分なこと、むしろ例外事項の報告の方が重要なことが見えてきました。結果として、資料の作成頻度は月1回に減り、内容も大幅にスリム化されました。社員の残業も減って、むしろ経営判断の質は上がったそうです。

◆言語化の実践方法

ここまで読んで「それは理解できるけど、具体的にどうすればいいの?」と思われる方も多いでしょう。

言語化の第一歩は、「そのために何をする?」と問いかけることです。
上司「もっと効率的に仕事を進めてほしい」

あなた「効率的にするために、たとえば何をすればいいでしょう?」

上司「そうですね。ひとまず、今やっている仕事を全て「やめる前提」で必要かどうかを判断していきましょう。」

このように、曖昧な表現に出会ったら、必ず「そのために、何をすればいいか?」を問いかけます。そうすれば、自分がやるべきことが見えてくるはずです。

この記事を書いた人

木暮太一 写真

木暮太一

(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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