あなたの頭の中を言語化して、自走して動くリーダーを育てる

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「今日は外出するので、この仕事を任せていきますね」
「はい、わかりました!」

このやり取りができるリーダーがいたら、あなたの仕事はどれだけ楽になるでしょうか? 指示を出したら、後は黙っていても仕事を進めてくれる。そんなリーダーがいれば、あなたはより大きな視点で組織の舵取りに集中できます。

ですが実際には、リーダーに任せたはずの仕事が後で問題になり、結局あなたが対応しなければいけないことが起きています。リーダーは「自分なりにがんばった」と言いますが、そのがんばりは明らかに方向性が違っていました。

これは、リーダーの能力が低いからではありません。あなたの頭の中にある「こうあってほしい」というイメージが、相手に伝わっていないからです。リーダーはあなたの意図を汲み取ろうとがんばっていますが、そもそもあなたの意図が見えていません。

◆自走するリーダーを育てる方法

あなたの頭の中を言語化して伝えることで、リーダーは自走して動いてくれるようになります。では具体的に、どうすれば自走して動いてくれるリーダーを育てられるのでしょうか?

ポイントは3つです。

1つ目は「あなたの頭の中にある判断基準を言語化すること」です。

業務を任せるとき、多くの場合「この資料をいい感じに仕上げておいて」「あのクライアントのことをよろしくお願いします」と伝えて終わってしまいます。しかしこれでは、リーダーは何をしていいかわかりません。

たとえば、社内の会議資料を作るように指示を出すとします。そのとき大事なのは「あなたが何を基準に資料の良し悪しを判断しているか」を伝えることです。「会議に出席するメンバーが資料を見ただけで、議論のポイントがわかるようにしてください。そのために、アジェンダは必ず箇条書きにして最初のページに入れてください」というように、あなたの判断基準を具体的に伝えましょう。

◆じつは、あなたの基準はあなたが思っているよりだいぶ複雑

あなたの頭の中にある判断基準はかなり複雑で、自分でも気づいていない部分が多くあります。たとえば先ほどの会議資料の例でいえば、「アジェンダを箇条書きにして最初のページに入れる」以外にも、実はいろいろな判断基準を持っているはずです。

「会議の冒頭で5分以内に説明できる分量に収める」
「結論に対する反論を想定して、そのための根拠データを必ず入れる」
「専門用語は必ず注釈をつける」

など、普段は無意識に判断していることが、実はたくさんあるのです。

この判断基準を言語化するために、まずはあなた自身で「なぜそうしているのか?」と自問自答してみましょう。

たとえば「アジェンダを最初のページに入れる」のは、なぜでしょうか? それはたとえば「出席者が会議の全体像を把握できるようにするため」です。では、なぜ全体像を把握してもらう必要があるのでしょうか? それは「議論すべきポイントを参加者全員が認識し、会議を効率的に進めるため」かもしれません。

このように「なぜ?」を繰り返すことで、あなたの無意識の判断基準が見えてきます。そしてその判断基準をリーダーに伝えることで、リーダーは「なぜそうしなければいけないのか」を理解できるようになります。

ただし、ここで注意しなければいけないのは、すべての判断基準を一度に伝えようとしないことです。人が一度に記憶できる情報量には限りがあります。最初は3つか4つ程度の判断基準に絞って伝えましょう。そしてリーダーがその判断基準を理解し、実践できるようになってから、次の判断基準を伝えていきます。

また、判断基準を伝えるときは、必ず具体例を添えましょう。「効率的な会議にする」という言葉だけでは、リーダーは具体的に何をすればいいのかわかりません。「90分の会議なら、アジェンダは5項目までにして、1項目15分で終わるように資料を作る」というように、具体的な数値や行動を示すことで、リーダーは実践できるようになります。

◆理由も明確にしないと、リーダーが不安になる

さらに重要なのは、その判断基準があなた個人の好みではなく、「なぜそうすべきなのか」の理由が明確になっていることです。「自分はこう思うから」ではなく、「このようにすることで、こんなメリットがある」という説明ができなければ、リーダーは納得して実行することができません。

また、判断基準は状況によって変わることもあります。たとえば通常の週次会議と、経営陣に対するプレゼン資料では、求められる水準が変わってきます。そのため、「どんな状況で、どの判断基準を適用すべきか」というケースごとの使い分けも、併せて伝える必要があります。

このように、判断基準の言語化は単に「こうしてください」と伝えることではありません。あなたが持っている判断基準を明確にし、その理由を説明し、具体例を示し、状況に応じた使い分けまで含めて伝えることで、初めてリーダーは自分で判断できるようになるのです。

2つ目は「リーダーの動きを制限しないこと」です。

判断基準を伝えると、ついついその通りに動いてもらおうとしてしまいます。しかし、それでは自走するリーダーは育ちません。判断基準さえ守ってもらえれば、やり方は任せましょう。

たとえば先ほどの会議資料であれば、アジェンダを最初のページに入れることは必須ですが、デザインや文字の大きさなどは自由に決めてもらってかまいません。むしろ、リーダーなりの工夫を加えてもらった方が、より良い資料になる可能性もあります。

3つ目は「振り返りの機会を設けること」です。

仕事が終わった後、必ずフィードバックの時間を作りましょう。ただしここで大事なのは、良かった点・悪かった点を伝えることではありません。なぜその判断をしたのか、その理由を聞くことです。

「この部分はこう判断しました」とリーダーが説明したときに、あなたの判断基準とズレていれば、そこで初めて修正すればいいのです。逆に、リーダーの判断の方が良かった場合は、今後はその判断基準を取り入れていきましょう。

これら3つのポイントを実践することで、リーダーは徐々に自走できるようになっていきます。ただし、最初からうまくいくわけではありません。むしろ最初は、これまで以上に時間がかかるかもしれません。

しかし、焦る必要はありません。判断基準が伝われば、リーダーは自分で考えて動けるようになります。そして何より、あなたの意図を理解したリーダーは、より良い方法を考え出してくれるようになります。

結果として、あなたの手から離れても、立派に仕事をこなしてくれるリーダーが育っていくのです。

この記事を書いた人

木暮太一 写真

木暮太一

(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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