
管理職などチームをマネジメントする立場になった方は、部下との接し方やコミュニケーションの取り方について考える機会があると思います。
その中でも特に気を付けたいのが、ハラスメントについてです。
近年「●●ハラ」と呼ばれるワードが増えており、自分ではそのつもりがなくてもハラスメントにあたってしまうという事例が増えています。自身がハラスメントを起こさないため、また組織内でハラスメントが発生した際に適切な処理をするためにも、ハラスメント研修の需要が高まっているのです。
この記事では、管理職の人がハラスメント研修を受けるべき理由や目的、学びたい内容などについて解説していきます。
管理職がハラスメント研修を受けるべき理由
ハラスメントのリスクを理解し予防するため
まず第一に、ハラスメントが発生したら会社にどんなリスクがあるのかを、理解するところから始めます。
例えば訴訟リスクもありますし、社会的信頼を失い業績が急下降することが大いにあり得ます。現在はSNSなどですぐに悪評が広まるので、会社全体にとって大損害になることは想像にたやすいですよね。
管理職の人は、立場上「部下に指導をする」という機会が多いため、その分ハラスメントをしてしまうリスクも高まります。
そのため、どのような言動がハラスメントに該当するかをしっかりと学び、未然に防げるように意識を高める必要があります。
また、自分自身が気を付けるのはもちろんのこと、職場やメンバーの雰囲気を普段から観察し、ハラスメントの兆候を早めに発見することも重要です。
速やかに対処することで、ハラスメント被害を最小限に食い止めることが求められます。
そして万が一ハラスメントが発生した場合には迅速に適切な対応ができるよう、報告体制の整備や関係各所との連携などを整えておくことも、管理職の重要な役割の一つです。
組織全体のハラスメントへのリテラシーを高めるため
「上司がハラスメント研修を受けている」という事実だけでも、組織全体の意識は高まります。
ハラスメントを防ぐための仕組みがなされている組織ということになり、部下も安心感を持って働くことができるでしょう。
ただ、管理職の人だけがハラスメント研究を受けることは、組織全体の意識は高まっても知識をつけることにはなりません。
学んだことを部下に共有し、ハラスメントへのリテラシーを組織として高めることが重要になります。
部下が相談しやすいような環境作りに繋げるため
ハラスメントは未然に防ぐことが重要ですが、人間関係とは難しいもので、無意識のうちに相手をモヤモヤさせてしまうこともあります。
ハラスメント一歩手前のグレーゾーンもありえるわけです。
例えば、上司から「頑張れ!」と、背中を軽く叩かれたり頭にポンっと手を乗せられたりしたとしましょう。
人によっては気にならないことであっても、ハラスメントに当たる可能性があり、それを良く思わない人もいます。部下は、「上司からしたらただの激励のつもりだし…」と、誰にも相談できずにモヤモヤを抱えたまま我慢することになってしまいます。
このように「嫌だけど相談していいのか分からない」「相談することで仕事がしにくくなるかもしれない」と我慢していては、思うようなパフォーマンスが発揮できません。相談しやすい環境を整えることも管理職に求められることであり、どのように環境作りすればいいかなども研修で詳しく学びます。
ハラスメント研修で学ぶべき研修内容
ハラスメントの種類と定義
パワハラ、セクハラ、マタハラなど、さまざまなハラスメントの種類について、定義や具体的な事例を学びます。
それぞれのハラスメントが、どのような状況で発生しやすいかを理解することで、予防策を講じることが可能になります。
ハラスメントの判断基準
何がハラスメントに当たるのか、具体的な言動例を基に判断基準を明確化します。
ハラスメントは、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)や男女雇用機会均等法などの法律によって禁止されている行為なので、これらの法律への理解も深めておきましょう。
相談窓口の設置
ハラスメントが発生した場合の相談窓口の設置方法や相談を受けた際の初期対応、事実確認の方法、加害者・被害者への対応など、具体的な手順を学びます。
プライバシー保護の重要性や、二次被害を防ぐための配慮についても理解を深めます。
ハラスメントにならない指導方法・叱り方
ハラスメントにあたらない指導方法についても、研修で学習します。
管理職の方が悩みやすいのは、部下への叱り方。どのように指導すれば、相手のやる気をそぐことなく改善してもらえるのかを理解しましょう。
また、褒められて悪い気になることは少ないと思いますが、実は「褒め方」も場合によってはハラスメントになってしまう可能性があります。
「褒める・叱る」両方含めて、どのように伝えればよいのかを学びます。
効果的な研修を実施するためのポイント
定期的に研修を行い定着させる
ハラスメント研修は、一度研修を行ったら終わりということではありません。
対象者は定期的に研修を受けて、トラブルが起きないように定着させていく必要があります。
管理職向けの研修プログラムを選ぶ
研修プログラムは、ポジションごと・目的ごとに分かれていることが多いです。自分のポジションに合った内容のプログラムを選ぶようにしましょう。
研修を受ける人は、自分は当事者だという意識を持って臨むことが重要になります。「自分には関係ない」と思わずに、ハラスメントをするリスクを背負っていることを自覚して、研修を受けるようにしてください。
必要に応じて「伝え方」についても学習する
ハラスメント研修とは別に考えておきたいのが、相手とのコミュニケーションの取り方や、相手への伝え方についてです。
研修でハラスメントの事例などをインプットできても、それだけでは「もう安心」とはなりませんよね。
実際の現場で部下との信頼関係を築くのは、自分自身。日頃から信頼を貯蓄するためには、こまめなコミュニケーションが重要になります。
そもそも部下との接し方が分からないという方は、ハラスメント研修とは別に「伝え方研修」なども検討してみるのがいいかもしれません。
まとめ
管理職の方がハラスメント研修を受ける理由や目的、学びたい項目について解説してきました。
ハラスメントは基本的に、当事者はハラスメントの自覚がありません。(自覚ありでわざとハラスメントをしているのであれば、それは会社がどうこうする問題ではなくなってきます…。)
そのため、研修を受ける人は「自分も当事者になる可能性がある」という意識を持って臨むことが重要になります。
研修を通して、部下とのコミュニケーションについても見直しながら、安心して働けるような環境作りを進めていきましょう。
この記事を書いた人

木暮太一
(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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