
「自分の考えが、うまく相手に伝わらない」「伝えたつもりなのに、期待通りの行動が返ってこない」「一生懸命説明するほど、話が長くなってしまう」
このような悩みを抱えているリーダーは、非常に多いと思います。この記事では、リーダーに必要な「言語化力」について解説します。あなたの思考と指示を明確に言語化できるようになると、チームの生産性は驚くほど向上します。
当社プログラム受講者様の声
実際に言語化プログラムを受講された方の67%が「この研修をリーダー職にも受けてもらいたい」と回答しています。
また言語化スキルが求められるのは、
・明確に指示出しをしたいと思った時 78.4%
・誤解なく伝えたい時 65.3%
でした。
貴社で言語化スキルが重要になるのはどのタイミングでしょうか?
言語化とは「明確化」である
「言語化」という言葉が注目されています。しかし、多くの方がこの「言語化」という言葉自体を理解できていないことに気づきました。
言語化とは、「明確化」です。
言葉にすれば「言語化できた」となるわけではありません。言語化とは明確化です。つまり、言語化できたかどうかは、明確にできたかどうか、なのです。
日本語は文化的背景もあって、曖昧さを残したまま交わす言語です。曖昧さが好まれることもありますが、曖昧にしか表現できないのはデメリットが大きいと思うのです。曖昧にも、明確にも伝えられる方がいいです。
リーダーにとっての言語化する目的
リーダーが言語化をする目的は「リーダー自身の思考を明確にすること」、そして「メンバーへの指示を明確にすること」です。そして明確に伝える目的は、「メンバーから正しい行動を引き出すこと」に尽きます。
言語化できれば、チームが動きだす
ぼくの言語化手法を企業研修で取り入れている企業が増えてきました。多くの課題が「思考と指示が曖昧になっていること」で起きています。それを言語化を通じて明確にすれば、解決するのです。
事例1)大手食品会社:リーダーが考えていることを言語化
Before) メンバーが作った資料を見ても、「なんか違う」「もうちょっと顧客に刺さるようにして」などのニュアンスでしか修正できませんでした。
↓
After) 資料で何を伝えるべきかを明確に捉えられるようになり、メンバーの資料に何が足りないか、どこを修正すればいいのかを的確に指示できるようになりました。
事例2)医療法人:業務指示を言語化
Before) 明確に指示をしているつもりでも、各メンバーの「常識」によって実際の行動が変わり、やってもらいたいことが伝わり切りませんでした。
↓
After) 指示内容を明確に言語化できるようになり、各メンバーが正しく実行できるようになりました。誤解もなくなり、マネジメントが楽になりました。
事例3)機器メーカー:価値と差別化を言語化
Before) 技術が顧客に理解してもらえず、常に価格競争に巻き込まれていました。
↓
After) 価値を明確に言語化できるようになって、価格競争に巻き込まれず、50%の値上げに成功しました。
言語化=明確化です。リーダーの頭の中を言語化すれば、速く人材育成ができます。指示を明確に言語化すれば、ストレスなく業務が進みます。言語化できれば、チームが驚くほど動き出すのです。
プレイヤーの動きを指示するのは、監督の責任
メンバーが現場で取るべきアクションを言語化するのはリーダーの責任です。リーダーが「アクションの言語化」をできている組織は驚くほどスムーズに動きます。
スポーツで考えれば理解しやすいでしょう。野球では、バッターに「送りバント」のサインを出すのは監督です。監督が指示を出し、バッターがバントするのです。試合に勝つために(ゴールを達成するために)現場で動くプレイヤーが何をすべきかを考え、指示をしているのは監督なのです。
もし監督が指示を出さなかったら? 各自がバラバラの作戦で試合に臨むことになります。仕事の現場でも同じです。
そのチームのメンバーの動きを考える人:リーダー
そのチームのメンバーに動きを指示する人:リーダー
実際に行動する人:メンバー
実際の行動の質を上げるように考える人:メンバー
という位置づけになります。しかし現状の組織では、リーダーがメンバーに何をすべきか指示を出していないケースが多いのです。
ビジネスシーンで最重要な言語化の型~価値を言語化する~
ビジネスで最初に身に着けたい型は、「価値」と「差別化」です。「価値」は非常に重要なキーワードですが、曖昧です。価値とは何かを聞かれて明確に答えられる人はほとんどいません。
価値を言語化するときの考え方の型は、3つです。
- 価値は、相手に変化を与えるものである
ライザップのように相手に変化(ビフォーアフター)を提供すれば、価値として認識されます。 - 価値は、相手のテンションを上げるものである
ライブコンサートやディズニーランドのように「動のテンション」、ハワイでリラックスするような「静のテンション」があります。 - 価値は、相手に伝わらない程の自分のこだわりである
意味が分からない程の細かいこだわりが感動を生むこともあります。
これをメンバーとの共通指針にして、「この機能は顧客にどんな変化を与えるの?」と問いかけることで議論できます。
「ゴール」の言語化
ゴールイメージを持つだけでなく、「明確なゴール」を持つことが大事です。現実には多くの「ゴール」が曖昧なままです。
「当社の目的は、お客様を笑顔にすること」という表現は何を言っているのか分かりません。吉本興業なら漫才で笑わせることでしょうが、住宅会社やホテルではどうでしょう?
定性的なゴールは、「~~~をできる状態」と言い換えると明確になります。
例えば「従業員満足度が高い」というゴールを
・従業員が、自分のアイディアを会議で発言できる状態 ・従業員が、定時で仕事を終えて帰宅できる状態 ・従業員が、35歳でマイホームを買える状態
などと言い換えれば、何をすべきか見えてきます。
「指示」の言語化
目標を設定するだけでは意味がありません。ゴールを示しても、そこに向かう方法が分からなければ、メンバーは動けません。目標と一緒にアクションプランも提示する必要があります。「目標達成しなさい」だけでは、リーダーとしての責任放棄です。
曖昧な指示を明確にするための問いかけ
曖昧な指示を明確にするには、『「そのために、何をする?」を3回繰り返す』方法が効果的です。
例えば「顧客に響く資料にしてください」という曖昧な指示があれば:
- 「顧客に響く資料にする。そのために何をする?」
→ 「見込み顧客に課題をヒアリングする」 - 「顧客に課題をヒアリングする。そのために何をする?」
→ 「先方にアポを取って課題を伺う場をセッティングする」 - 「アポを取って課題を伺う。そのために何をする?」
→ 「競合他社の課題とそれを克服した手法をまとめた資料を作って持参する」
このように問いかけを繰り返すことで、具体的なアクションに落とし込めます。
まとめ
リーダーの言語化力とは「明確化する力」です。自分の頭の中と指示を明確にすれば、メンバーは適切な行動を取れるようになります。そのためには:
- 価値・差別化などのビジネス概念を明確に定義する
- ゴールを「~できる状態」として具体化する
- 指示を「そのために何をする?」を繰り返して明確にする
言語化は単なるテクニックではなく、リーダーシップの本質です。言語化できれば、チームは驚くほど動き出します。
この記事を書いた人

木暮太一
(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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