
職場でのコミュニケーションにおいて、言葉が曖昧だと意思疎通がうまくいかず、誤解や不安を生むことがあります。特に「なんとなく」や「多分」といった曖昧な表現を多用してしまうと、相手にしっかり伝わらないことがあります。そこで今回は、職場で使われがちな曖昧な表現をより明確に伝えるための「言い換えトレーニング」をご紹介します。
1. 曖昧な表現:「多分」「おそらく」
この言葉は、不確かな情報を伝える際に使われがちです。しかし、職場では情報を確実に伝えたい場面が多いです。
●言い換え例
多分 → これは私の考えですが、今のところは…
おそらく → ○○を確認した結果、次のように判断できると考えています…
このように、自分の考えなのか、もしくは事実としてそう言えるのか、「事実」と言えそうであれば、なぜそう言えるのかを交えながら話すことで、相手はより安心感を持って受け取ることができます。
2. 曖昧な表現:「できるだけ」「なるべく」
これも、どこまで実現可能かが不明確な表現です。「できるだけ早く」と言われても、どれくらい早いのか、相手には伝わりません。
●言い換え例
できるだけ → 最遅で〇〇時までに対応します。
なるべく → 〇〇の優先度を上げて、□□時までに完了します。
期限や具体的な時間を示すことで、相手は期待できる結果を明確に理解することができます。
3. 曖昧な表現:「ちょっと」「少し」
この言葉も曖昧で、相手にとっては具体的にどれくらいの量や時間かがわかりません。特に仕事の指示や依頼をする場合、時間の見積もりが重要です。
言い換え例
ちょっと → 〇〇分程度の時間で終わる見込みです。
少し → 〇〇%程度、ボリュームを減らすことができます。
具体的な数値や目安を加えることで、より実行可能な指示として伝わります。
4. 曖昧な表現:「いい感じに」
「いい感じにしてほしい」などのフレーズはよく使われます。でも、何をどうしたら「いい感じ」になるのかがわかりません。いい感じになるための要素を提示しなければいけませんね。
●言い換え例
いい感じにして → 資料の各ページにグラフ、図を1つ入れて。
いい感じにして → 過去に採用された提案書の形式をそのまま使って
目的や優先順位を明確にして伝えることで、相手に具体的な行動を促すことができます。
5. 曖昧な表現:「考えておきます」「検討します」
よく使われる言い回しですが、何をどう考えるのか、どの程度の意図があるのかがわからないため、相手は不安に感じることがあります。
●言い換え例
考えておきます → 〇〇までに結論を出し、〇〇さんに報告いたします。
検討します → ○○についてAさんに確認し、改善案を〇〇日までに報告します。
期限とともに具体的な行動を伝えることで、相手に安心感を与えます。
まとめ
コミュニケーションにおける「言い換えトレーニング」は、ただ単に言葉を変えるだけではなく、相手にどれだけ明確に伝わるかを意識することが大切です。曖昧な表現を避け、具体的な時間や状況、行動を明示することで、より円滑なコミュニケーションが実現できます。ぜひ、職場で使える言い換えを意識して、明確で効果的なコミュニケーションを目指しましょう。
この記事を書いた人

木暮太一
(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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