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「なんとなく思っているけど、うまく言葉にできない」。そんなもどかしさを感じたことはありませんか?言語化の力は、コミュニケーションだけでなく、思考の整理や行動の明確化にも直結します。今回は、今日から誰でも始められる言語化のトレーニングを3つ紹介します。

1)「なぜ?&いつと比較して?」を3回繰り返す

言語化とは、自分の頭の中にある「あいまいな感覚」や「ぼんやりした考え」を明確な言葉に変える力です。
その第一歩として効果的なのが、「なぜ?」と「いつと比較して?」を繰り返す習慣です。

よく「なぜ」を繰り返すと自分の感情が言語化できると言われます。しかし、これだけだと、どうしても主観的な考えが出てきてしまい、より不満を募らせる方向にいってしまいます。

たとえば…

「今日は仕事がしんどかった」と感じたとします。
そこで終わらせずに、次のように掘り下げてみてください。

  1. ①なぜしんどかった?
     → 朝から会議が立て込んでいたから。
  2. ②なぜ会議がしんどく感じた?
     → 議論がかみ合わず、成果が出なかったから。
  3. ③なぜ議論がかみ合わなかった?
     → 各自の意図やゴールが共有されていなかったから。

このように、「なぜ?」を繰り返していくと、起きている事柄が「悪いもの」という前提になりがちです。これでは「やっぱりこの環境が悪いんだ」と感じるようになり、より自分のストレスを強めてします。

なのぜ「なぜ」とセットで「いつと比べて?」を言葉にしましょう。

  1. ①なぜしんどかった?
     → 朝から会議が立て込んでいたから。

 
 いつと比べてしんどかった?
 →先週と比べて。先週も会議があったけど、先週はそんなにしんどくはなかったな。

  1. ②なぜ会議がしんどく感じた?
     → 議論がかみ合わず、成果が出なかったから。

     いつの会議と比べてそう感じた?

 →言われてみれば、会議がかみ合っていないのは「あるある」だ。そもそもお互いの立場を理解し合えていない気がする。。。

③なぜ議論がかみ合わなかった?
 → 各自の意図やゴールが共有されていなかったから。

 いつ(どの会議)と比べて、ゴールが共有されていなかった?
 →これも今回に限った話ではなかったな。今回、こんなにしんどく感じたのは、月曜日から寝不足で自分の体調が悪かったからかもしれないな。

言語化とは「不満をぶちまけること」ではありません。この「なぜ&いつと比べて」を繰り返すことで、わりと冷静に状況を分析でき、表面的な感想が構造的な理解に変わります。そして、それが言語化の精度を高めていくのです。

ポイント:問いを持ち続けるクセが、言語化力の土台になります。

2) 日記やメモに「感情」と「理由」をセットで書く

感情を言語化するトレーニングは、自己理解と他者との信頼関係の構築に役立ちます。
ここでおすすめしたいのは、感情 + 理由のセットで書く習慣です。

書き方の例:

  • 「今日はなんだか気分がよかった。朝の通勤で音楽を聴いてリラックスできたから。」
  • 「イライラしていた。部下の返答が曖昧で、何を考えているのか分からなかったから。」

  • このように感情だけでなく「なぜそう感じたのか?」という理由までセットで書くことで、自分の内側を丁寧に見つめる力が養われます。なぜこの方法が有効なのか?

  • 感情は抽象的で、他人に伝わりにくいものです。しかし、それを言語にすることで、他者にも伝わりやすくなります。さらに、自分自身が「どういうときにどう感じるのか」という感情のパターンに気づくきっかけにもなります。
  • 毎日の数行でもOK。続けることで、思考と言葉がつながり始めます。

3)人に話す前に「要点を3つ書き出す」

「話がまとまらない」「説明が長くなる」と悩む人は多いです。
そんなときにおすすめなのが、話す前に3つだけ要点を整理する習慣です。

たとえば、会議で「今のプロジェクトの課題」について発言するとき、いきなり話し始めるのではなく、以下のようにまとめてみます。

【発言前メモ】
・顧客とのやりとりに時間がかかっている
・チーム内の役割分担が曖昧
・タスクの優先順位が定まっていない

    このように「3つに絞る」ことで、話すときに迷わず、伝えたいことが明確になります。
    また、聞き手にとっても要点が整理されていて、理解しやすくなるという利点があります。

    話す前の3分準備が、伝わる力を大きく変えますので、ぜひやってみてください。

    言語化は「筋トレ」と同じ。続けることで力になる

    言語化の力は、もともと一部の人だけに備わっているスキルではありません。日々の習慣と意識で誰でも鍛えられる能力です。
    今回紹介した3つの方法は、どれも今日からすぐに始められるものばかりです。

    • 1)「なぜ?&いつと比べて?」を3回繰り返す
    • 2)感情と理由を日記に書く
    • 3)話す前に要点を3つメモする

    • どれか1つでも、日々の生活に取り入れてみてください。やがて、自分の思考がクリアになり、他人ともズレなく伝え合える力が育っていくはずです。言葉にできるということは、考えが整理されているということ。そしてそれは、自分自身を知り、他者とつながるための最も大切なスキルです。ぜひ、今日から小さなトレーニングを始めてみましょう。

    この記事を書いた人

    木暮太一 写真

    木暮太一

    (一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
    14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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