職場でよくある「伝えたつもり問題」――なぜ起きる?どう防ぐ?

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あなたも経験したことがありませんか?上司から「あの件、適当にまとめておいて」と指示を受け、翌日提出すると「これじゃダメだよ!」と怒られる――そんな場面です。


実はこのようなコミュニケーションギャップは、日常の職場で非常に多く発生しています。この問題がなぜ起きるのか、背景にはどのような理由があるのか、そしてどう対策すればよいかを解説します。

こんなリーダーになっていませんか?

その職場で働くメンバーからすれば、「いい会社=いい上司」です。つまり、上司と馬が合えばその会社は「いい会社」になりますし、そうでなければ「最悪の会社」になり得るわけです。要はリーダーなんですよね。

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「適当にまとめておいて」??

上司が部下に対して、「山田くん、あの件、適当にまとめといて」と指示を出しました。部下は指示通り「適当に」資料を作成します。翌日、上司に資料を見せると、「え、なにこれ?そうじゃなくて、もっと数字とか具体的にまとめてほしかったんだよ」と叱られてしまいます。

部下は混乱しながら「昨日、適当にって言いましたよね?」と戸惑っています。
一方、周囲も「また出た、『伝えたつもり』パターンだ…」と困惑していますね。日頃からこうした曖昧な指示によって、職場のコミュニケーションにストレスを感じている様子が描かれています。

問題が起きる背景:なぜ「伝えたつもり」が発生する?

なぜこういったコミュニケーションギャップが起きるのでしょうか。その最大の理由は「曖昧な言葉の解釈の違い」です。

例えば、今回のキーワード「適当」です。この言葉は日本語特有の難しさがあります。「適当」には、「いい加減に、ざっくりと」という意味と、「ちょうど良く、しっかりと」という真逆の意味があります。上司は後者のつもりで使っていますが、一方で部下は前者として解釈したわけです。

また、職場では忙しさや時間不足から、「これくらい言わなくても分かるだろう」という暗黙の期待が生まれます。これが「伝えたつもり」という誤解を生み、結果的に業務効率を下げ、互いに不満を生む悪循環を引き起こしています。

コミュニケーションギャップがもたらす問題曖昧な指示は、ただの「伝達ミス」以上に深刻な問題を生みます。
たとえば……

業務の二度手間、時間ロスが発生
指示を受けた側のモチベーション低下
指示する側、される側の信頼関係悪化
組織全体の生産性低下

これらが積み重なると、組織としての力が大きく損なわれます。特に若手社員や新入社員はこのような曖昧な指示に戸惑い、自信を失いがちになります。

具体的な対策:曖昧な指示を防ぐには?

では、このようなコミュニケーションギャップを防ぐにはどうすればよいのでしょうか?以下に、すぐに取り入れられる具体的な対策を紹介します。

①指示は「期限・内容・具体性」を明確に

指示を出すときに意識すべきは次の3点です。

期限:「いつまでに」
内容:「何を」
具体性:「どのように、どの程度まで」

例えば、「明日までに、売上データを過去半年分まとめて、数値とグラフを入れて提出してください」と伝えるだけで、具体性が格段に上がります。

②指示を受ける側も積極的に確認する

受け取る側もただ指示を待つだけでなく、曖昧な言葉を聞いたら即座に確認しましょう。「『適当に』とは具体的にどういうことですか?」と質問すれば、互いの誤解をその場で防ぐことができます。

③指示を文書化する・可視化する

指示は可能な限りメールやチャットなどで文字として残すことを習慣化しましょう。後から見返せるので、「伝えた・聞いていない」の水掛け論を避けられます。

職場全体で改善を意識するこのコミュニケーション問題は個人の意識改革だけでなく、職場全体で改善を意識することが大切です。例えば定期的にコミュニケーションの改善について話し合う場を設けたり、曖昧な指示を防ぐためのガイドラインを作成するなど、組織としての取り組みを推進しましょう。

まとめ

「適当にまとめといて」というような曖昧な言葉は、実は職場の生産性を著しく下げる原因となっています。コミュニケーションの誤解は、個人の責任ではなく組織の問題と捉えて、具体的な改善策を積極的に導入することが重要です。

少しの工夫と意識で、「伝えたつもり」「聞いたつもり」を防ぎ、快適で生産性の高い職場をつくっていきましょう。

この記事を書いた人

木暮太一 写真

木暮太一

(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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