
社内のコミュニケーションが円滑に進まないと言われます。でもその「コミュニケーション」って何でしょうか? 結局のところ、何がうまくいかないことを言っているのでしょうか?
非常にドライに聞こえるかもしれませんが、ぼくらの仕事上でのやり取りは、お互いが仲良くなることを目的にしているわけではないです。それよりも仕事が円滑に進むことを優先しなければいけませんね。本来は。
と考えた場合、社内で起きている「コミュニケーションの問題」は、そのほとんどが「相手が言っていることが曖昧で理解できない」「(こちらの意図が伝わらなくて)相手が誤解してしまう」ということに尽きます。つまり、「依頼・指示が曖昧」なんです。
この記事では具体的な「ダメな例→言い換え例」を紹介し、指示を明確にするコツをお伝えします。指示の質を上げ、生産性を高めましょう。
具体例で学ぶ「あいまいな指示」の改善方法
「あいまいな指示」の多くは、目的や具体的な行動が示されていないことが原因です。「目的を明確にする」「条件(定義)を明確にする」「具体的なアクションを指示する」という3つのステップが重要です。
そして、あいまいな指示を明確にするには、
・「目的」
・「条件」
・「具体的なアクション」
を必ずセットで伝えることが大切です。これにより業務効率が上がり、ミスや無駄な時間が削減されます。ビジネスシーンでのコミュニケーションを改善し、生産性を向上させるためにも、今日から「あいまいな指示」を明確化する習慣を身につけていきましょう。
【例①】
- ダメな例:「いい感じにやっといて。」
- 言い換え例:「資料の目的は顧客に次回商談で即決してもらうこと(目的)だから、そのためにクライアントが抱える緊急課題を冒頭で明示して(条件)、期間限定の割引オファーを盛り込んだ資料を作成して(具体的なアクション)。」
- 解説:「いい感じ」という抽象的表現では各自が勝手な解釈をしてしまいます。目的を明確にし具体的な成果物を伝えることで作業の質と効率が向上します。
このように目的→条件→具体的なアクションを入れると、より明確に自分の意図を伝えることができます。
【例②】
- ダメな例:「なんか違うんだよね、修正よろしく。」
- 言い換え例:「資料の問題点は提案商品の価値が明確に伝わっていないことだと感じるから(商品価値を明確に伝えることが目的)、そのために商品を購入することで顧客に与えられる具体的なメリット(条件)を最低でも5つは書き出して入れ直してほしい(具体的なアクション)。」
- **解説:**漠然とした修正指示は、無駄な作業を生みます。具体的に修正点を明示することで効率的な修正が行え、目的に沿った仕上がりになります。
【例③】
- ダメな例:「顧客に響くような資料にしておいて。」
- 言い換え例:「資料の目的は顧客がその場で購入を決めること(目的)。そのために緊急性のある顧客の課題を明確に挙げ(条件)、その解決に対する具体的な提案と期間限定の価格提示を資料に盛り込んで。」
- 解説:「響く」という表現では具体性がなく解釈が分かれます。具体的な提案や課題設定を行い、行動を促す資料作成を可能にしましょう。
【例④】
- ダメな例:「相手の立場になって行動して。」
- 言い換え例:「今回の顧客は予算が第一(予算を超えないプランを作ることが目的)が限られているから、そのために提案する際は予算内で実現可能なプラン(条件)を具体的に5つ示して(具体的なアクション)。」
- **解説:**状況や条件を具体的に提示することで、相手の状況を的確に理解した行動ができ、より効果的なコミュニケーションが生まれます。
【例⑤】
- ダメな例:「顧客と親密なコミュニケーションを取っておいて。」
- 言い換え例:「次回の商談がスムーズに進む(目的)ように、そのために進捗が分かる資料を準備して(条件)、先方に週1回確認メールを送り、かつ月1回は訪問もしくはオンラインで状況確認のミーティングを設定して(具体的なアクション)。」
- **解説:**頻度や内容を具体的に決めることで、コミュニケーションが確実になり、顧客との関係構築や維持に役立ちます。
【例⑥】
- ダメな例:「とりあえず急ぎでお願い。」
- 言い換え例:「明日の午後の営業会議で議論したいから(目的)、そのために今日中に販売データを整理して、前年比較ができるような資料(条件)にまとめて月曜日の12時までにPDFで送ってほしい(具体的なアクション)。」
- **解説:**急ぎである理由や期日を伝えることで、優先順位を明確にし、目的意識を持って仕事を進めることができます。
【例⑦】
- ダメな例:「うまく進めておいて。」
- 言い換え例:「プロジェクトの目的は期日通りにリリースを出すこと(目的)だから、そのために毎日終了時に商品の開発状況(条件)の進捗をSlackに報告し、遅延の可能性があれば即座にチームにメールで共有して(具体的なアクション)。」
- **解説:**報告頻度や方法を具体化することで進捗管理が明確になり、トラブルや遅延の早期発見につながります。
明確な指示で生産性を高めよう
繰り返しになりますが、あいまいな指示を明確にするには、
・「目的」
・「条件」
・「具体的なアクション」
を必ずセットで伝えることが大切です。
ぼくらの普段の会話は基本的に「あいまい」です。この課題を解決するためには、言い換えが大事。そうすればコミュニケーションの課題は解決されていくでしょう。「あいまいな指示」は生産性を大きく低下させます。「目的」「条件」「具体的なアクション」をセットで伝えることで、業務効率が改善されミスや無駄な時間が削減されます。指示を明確に伝えるスキルを今日から実践していきましょう。
この記事を書いた人

木暮太一
(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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