
ビジネスでもプライベートでも、「コミュニケーション力を身につけたい」と願う人は非常に多いものです。しかし、多くの人が「コミュニケーション力」という言葉を使いながらも、その具体的な定義を明確に理解しているとは言い難い状況です。「話が上手な人がコミュニケーション力が高い」という単純な認識では、真のコミュニケーション力を身につけることはできません。
本記事では、コミュニケーション力の明確な定義を整理し、それを効果的に伸ばすための実践的トレーニング方法について詳しく解説します。単なる知識ではなく、明日から実践できる具体的な方法にフォーカスしていますので、ぜひ最後までお読みください。
コミュニケーションの課題って、実際は何?
コミュニケーションに課題を持っている組織はたくさんあります。でもその背景とパターンは様々ですね。貴社の課題はどれでしょうか?
サービス資料をダウンロードする >そもそも、コミュニケーション力とは何か?
「コミュニケーション力」とは、自分の伝えたいことを明確に表現し、相手の意図を正確に理解し、円滑な意思疎通を図る能力のことです。これは単に話し上手であるということではなく、自分と相手双方が理解し合い、信頼関係を築けるようなコミュニケーションが取れることを意味しています。
特に注目すべき点は、コミュニケーション力が「話す力」だけではないということです。話すことと同等、あるいはそれ以上に「聴く力」が重要であり、さらには関係性を構築する力も含まれています。つまり、コミュニケーション力は複合的なスキルの集合体なのです。
コミュニケーション力の3つの要素
コミュニケーション力は大きく3つの要素に分けることができます。
① 伝える力
これは自分の考えや意見、さらには感情を、相手に誤解なく適切に伝える力を指します。伝える力が乏しいと、自分では明確に話したつもりでも、相手に正しく伝わらず、意見の食い違いやトラブルの原因になってしまいます。
効果的に伝えるためには、論理的な思考力、適切な言葉選び、相手の理解度に合わせた説明力などが必要です。また、伝えるタイミングや場の空気を読む力も重要な要素となります。
② 聴く力
コミュニケーションは一方通行ではありません。相手が伝えようとしていることを正確に理解し、適切な反応を返す力が求められます。聴く力が不足していると、相手が本当に伝えたいことを見逃してしまい、良好な関係性を築くのが難しくなります。
真の「聴く力」とは、単に言葉を耳で聞くだけではなく、相手の言葉の背景にある感情や意図を理解することを含みます。時には言葉にされていない本音を察する力も必要になるでしょう。
③ 関係構築力
伝える力と聴く力を総合的に活用し、相手との間に信頼や共感を生み出し、持続的な良好な関係を築く力です。この関係構築力があることで、チーム内での円滑なコミュニケーションや、ビジネスの場における信頼関係の構築が可能になります。
関係構築力には、相手への敬意、共感力、一貫性のある言動、約束を守る誠実さなどが含まれます。これらの要素が組み合わさることで、長期的な信頼関係が構築されていくのです。
コミュニケーション力を高めるトレーニング方法
では、実際にコミュニケーション力を身に着けるためにはどうすれば良いのでしょうか。そのための効果的なトレーニングを具体的に紹介します。
自己理解と自己開示の練習
コミュニケーションの土台は自分自身の考えや感情を明確に把握し、それを適切に相手に伝えることから始まります。日記を書くことで日々の思考を整理したり、マインドマップを活用して自分の内面を視覚的に捉える練習を行うことがおすすめです。
具体的な方法としては、毎日10分程度、その日に感じた感情や考えを言語化する習慣を持つことから始めてみましょう。最初は単語レベルでも構いません。「今日は〇〇を感じた」「△△について□□と思った」といった形で記録していくと、自分の内面を言語化する力が徐々に高まっていきます。
傾聴力のトレーニング
コミュニケーションは話すこと以上に聞くことが重要です。相手が話す内容に深く耳を傾け、話のポイントや相手の感情を読み取る練習をしましょう。具体的な方法としては、相手の話を聞いた後、自分の言葉で内容を要約して返す「パラフレージング」の練習が効果的です。
パラフレージングの基本的な手順は以下の通りです:
- 相手の話を中断せず、最後まで聞く
- 「あなたが言いたいのは、〇〇ということですね」と要約して返す
- 相手から「そうです」や「いいえ、そうではなく…」というフィードバックを得る
- 必要に応じて再度要約を試みる
- この練習を繰り返すことで、相手の話の本質を捉える力が養われます。
非言語コミュニケーションの意識化
コミュニケーションは言葉だけではありません。表情や姿勢、ジェスチャー、声のトーンなど、非言語的な要素も大きく影響します。自分の話している姿を録画して振り返ることで、意外な癖や改善すべき点が見つかります。
特に注目すべき非言語コミュニケーションの要素としては、アイコンタクト、身振り手振りの適切さ、声の大きさやトーン、表情の豊かさなどがあります。これらを意識的にコントロールする練習を行うことで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
共感力を高めるロールプレイング
共感力を高めるトレーニングとしてロールプレイングを行うことも非常に有効です。具体的なシーンを想定し、役割を入れ替えて相手の立場から状況を体感してみることで、相手の気持ちや視点をより深く理解できるようになります。
例えば、「クレーム対応」や「意見の対立がある会議」などのシチュエーションを設定し、それぞれの立場になりきってみる練習は、視点の転換と共感力向上に大いに役立ちます。
言語化スキルを鍛える
コミュニケーション力をさらに高めるために必須なのが「言語化スキル」です。言語化スキルとは、自分の考えや感情を曖昧にせず、明確かつ具体的に伝えられる力のことを言います。このスキルが高まると、伝達の正確性が増し、誤解やズレが生じることが大幅に減少します。
言語化スキルのトレーニングは次のような段階で行います:
- 自分の感情や考えを単語レベルで明確化する(例:「不安」「期待」「懸念」など)
- それらの感情や考えが生じる理由を具体的に説明できるようにする
- 実際に相手に伝えるための文章を構築する
- ロールプレイングなどで実際に伝える練習をし、フィードバックを得る
このプロセスを繰り返すことで、自分の内面を適切に言語化する力が徐々に向上していきます。
まとめ
コミュニケーション力とは具体的で訓練可能なスキル群です。「伝える力」「聴く力」「関係構築力」の3つの要素をバランスよく高めていくことが重要です。
本記事で紹介したトレーニング方法は、すぐに実践できるものばかりです。毎日少しずつでも継続的に取り組むことで、着実にコミュニケーション力は向上していきます。完璧を目指すのではなく、小さな成功体験を積み重ねながら、自分自身のコミュニケーションスタイルを確立していきましょう。
コミュニケーション力の向上は、ビジネスでの成功だけでなく、人間関係全般の質を高め、より豊かな人生を送るための重要な鍵となります。
この記事を書いた人

木暮太一
(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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