
「何か言いたいことはあるのに、うまく伝えられない」。多くの人が抱えるこの悩み、実は解決できます。頭の中にある情報を整理し、「分解」と「整理」を重視したトレーニングを続けるだけでいいんです。「どうすれば言葉にできるか」を30年以上研究してきたぼくが、思考を明確にするための具体的で実践的なメソッドを紹介します。日常に取り入れられるシンプルな方法で、あなたの言語化能力は確実に向上するはずです。
みんな言語化できずに悩んでいる
ビジネスでもプライベートでも、「言いたいことがあるのに、言葉が出てこない」という経験はありませんか? 会議中に良いアイデアを思いついたのに、うまく説明できずに終わってしまった。恋人や家族に自分の気持ちを伝えたいのに、どう表現していいかわからない。そんな悩みを抱えている人は、思っている以上に多いんです。
実は僕自身も、以前は言語化が苦手でした。頭の中では「こう伝えたい」という思いがあるのに、いざ口を開くと言葉が散らかってしまう。そんな自分を変えるために編み出したのが、今日お伝えする木暮式の「言語化メソッド」です。
なぜ言語化が難しいのか?
まず、言語化が難しい理由について考えてみましょう。
多くの場合、言語化が難しいのは、頭の中の情報が整理されていないからなんです。言いたいことがぼんやりと霧の中にあるような状態では、それを明確な言葉として取り出すことができません。たとえば「この企画はいいと思う」という感覚はあっても、「なぜいいと思うのか」「どの部分がいいと思うのか」が整理されていないと、相手に伝わる言葉にはなりません。
言語化の第一歩は、自分の頭の中を整理整頓することなんです。
言語化の基本は「分解」と「整理」
僕が提唱する言語化トレーニングの核心は、「分解」と「整理」です。
例えば、「昨日の飲み会が楽しかった」と伝えるとき、ただそれだけだと相手には何も伝わりません。でも、これを「誰と」「どこで」「何をして」「どんなことが楽しかったか」に分解すると、具体的で伝わりやすい表現になります。
「昨日、大学時代の友人3人と渋谷の居酒屋で飲んだんだけど、久しぶりに会ったのに昔と変わらない話し方をする彼らを見て、時間が止まったような不思議な安心感があって楽しかった」
こんな風に分解して整理すると、相手に伝わる言葉になりますよね。
頭の中を「見える化」する
言語化のコツとして、頭の中を「見える化」することが非常に効果的です。
僕自身、重要なプレゼンテーションの前には必ずメモやマインドマップを使って自分の考えを書き出します。書くという行為は、頭の中の抽象的な考えを具体的な形にすることで、自分の思考の構造を明確にしてくれるんです。
ノートに箇条書きでもいいし、付箋を使ってもいい。自分の思考を視覚化することで、言葉にする準備ができるんです。
日常的にできるトレーニング法
言語化スキルを向上させるのに、特別な時間を設ける必要はありません。日常の中でできるトレーニングがたくさんあります。
最もおすすめなのは、日記を書くことです。ただし、「今日は〇〇をした」という事実だけを書くのではなく、「なぜそれをしたのか」「どう感じたのか」を具体的に記述することが大切です。
例えば、「今日はカフェで3時間作業した」ではなく、「今日は集中して企画書を仕上げたかったので、静かな環境と適度な雑音があるカフェを選んだ。窓際の席だったので自然光が入り、気分も良く、予想以上に作業が進んで満足感があった」と書くことで、自己理解が深まり、表現力が向上します。
「木暮メソッド」での効果的な質問術
ぼくが日々の研修やコンサルティングで使っている方法の一つに、質問による言語化促進があります。
この時にそう思った背景を自分自身に問い続けることで、表面的な感情から、より深層にある本質的な思考を掘り下げることができます。
例えば、「この企画は面白くない」と感じたとき、「何が足りないから、面白くないと思うのか?」「面白い企画と比較すると、何が足りないか?」を考えます。
ポイントは、面白くない理由を探すのではなく、「何が足りないのか?」という[ WHAT ]を探すことです。こうすることで、単なる感想ではなく、今後の対策につなげて考えることができます。
具体例から学ぶ言語化トレーニング
感情を言語化する時も同じです。より実践的なトレーニングとして、具体的なシーンを設定し、それに対して感じたことを明確に表現する練習をしてみましょう。
例えば「上司からプレゼンテーションを否定された時」を想定し、「あの時、どう思った?」と自問してもなかなか言葉になりません。「何を言われたときに嫌だった?」「何を指摘されたときに傷ついた?」など、ここでも[ WHAT ]に目を向けます。そうすることで、漠然と「嫌な思いをした」とマイナス感情を抱くのではなく、客観的に自分を振り返ることができるようになります。
まとめ
言語化能力は、生まれ持った才能ではなく、トレーニングで向上させられるスキルです。「分解」「整理」「見える化」を意識した日々の小さな実践が、あなたの表現力を大きく変えていきます。
今日から日記を書いてみる、重要な会話の前に考えを書き出してみる、自分の感情を掘り下げる質問をしてみる。こうした小さな一歩から始めて、頭の中のモヤモヤをクリアな言葉に変えていきましょう。きっとあなたも、言語化の達人になれますよ。
この記事を書いた人

木暮太一
(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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