
できる人・できない人の特徴

リーダーシップという言葉を聞くと、多くの人は「人を引っ張っていく能力」というシンプルなイメージを持ちがちです。しかし、その本質はより広く深い概念であり、人間性、行動パターン、コミュニケーション能力など多面的な要素が組み合わさったものです。リーダーシップを発揮できる人とできない人の違いは、単に「積極的であるかどうか」や「カリスマ性があるかどうか」といった表面的な要素だけではありません。本記事では、真のリーダーシップを発揮できる人とできない人の違いについて掘り下げていきます。
主体性と行動力の差
リーダーシップを発揮できる人の最も顕著な特徴は「主体的に行動する」ことです。問題が発生した際、「誰かが解決してくれるだろう」と待つのではなく、自ら進んで解決策を模索し、チームを巻き込んで対処します。
一方、リーダーシップを発揮できない人は問題に直面すると受動的になり、「自分には関係ない」「誰かがやるべきだ」と責任を回避する傾向があります。これが問題解決の遅れを招き、チーム全体の生産性低下につながるのです。
コミュニケーション能力の差
リーダーシップの大きな差として注目すべきは「コミュニケーション能力」です。リーダーシップを発揮できる人は、自分の考えや目標を明確に言語化し、周囲に伝えることができます。複雑な状況でも本質を見抜き、それを誰にでも理解できる言葉で説明できる能力を持っています。
また、優れたリーダーは相手が何を考え、何を感じているかを理解し、それに応じて適切なコミュニケーションを取れるのです。これは相手の立場に立って考える共感性と、それを適切に表現する能力が組み合わさったものです。
一方、リーダーシップを発揮できない人は自分の考えや感情を上手く伝えられず、曖昧な指示や説明不足により誤解を招くことが多々あります。その結果、組織内のコミュニケーションが混乱し、効率や士気の低下を招いてしまうのです。
責任感と信頼の構築
「責任感」においても顕著な差があります。リーダーシップを発揮できる人は、成功も失敗も自分自身の責任として受け止め、失敗したときにはそれを素直に認めて改善策を提示します。これが信頼感を生み、チームの結束力を高めます。
失敗の原因を具体的に特定し、次に活かす姿勢が重要です。「市場調査が不十分だった」と明確に認識できれば、次の成功につながる学びになります。
しかし、リーダーシップを発揮できない人は失敗やミスを自分のせいではないと主張したり、他者に責任を押し付けたりします。そのような態度は周囲の信頼を失い、チームとしてのまとまりを損ないます。
周囲を巻き込む力
リーダーシップを発揮できる人は、周囲の人たちの意欲や強みを引き出し、一体感を作り出します。たとえ困難な課題であっても、皆が協力して乗り越えようとする雰囲気を生み出すのです。
チームメンバーの強みを見抜き、それぞれの特性を活かした役割を与えることで、チーム全体のパフォーマンスを高めることができます。メンバー一人ひとりの貢献を認め、評価する姿勢も大切です。
対照的に、リーダーシップを発揮できない人は、他者の動機づけや共感を生むことが苦手であり、周囲の士気やエネルギーを引き出すことができません。結果として、チーム全体のパフォーマンスが低下してしまいます。
長期的視点の有無
リーダーシップを発揮できる人は常に長期的なビジョンを持ち、目先の利益や短期的な問題だけに振り回されることなく、持続可能な成長や成功を目指します。
明確なビジョンを持ち、それを組織全体で共有できるかどうかが、組織の未来を左右します。「5年後に新興市場でのシェア30%獲得と社員満足度90%を達成する」といった具体的な目標を設定し、そこに向かって戦略を立てることができます。
反対に、リーダーシップを発揮できない人は、目の前の課題にばかり気を取られ、短絡的な判断や一時的な対処に終始してしまいます。その結果、組織の持続的な発展を阻害する可能性があります。
言語化スキルの差
もう一つ重要な違いが「言語化スキル」です。言語化スキルとは、抽象的な概念や感情、状況を具体的な言葉で表現する能力のことです。
リーダーシップを発揮できる人は、複雑な状況や問題を的確に言語化し、本質を捉えることができます。例えば、チームの課題を「コミュニケーション不足」と抽象的に表現するのではなく、「朝会での情報共有が一方通行になっており、メンバーからのフィードバックが少ない」と具体的に言語化できます。
また、ビジョンや目標も抽象的な言葉ではなく、具体的な言葉で表現します。「より良い会社にする」ではなく、「3年以内に業界トップ3に入り、従業員満足度90%を達成する」というように、誰もが同じイメージを持てる形で言語化します。
一方、リーダーシップを発揮できない人は、自分の考えや感情、状況認識を言語化することが苦手です。「なんとなく調子が悪い」「何か改善が必要」といった抽象的な表現にとどまり、具体的な問題点や解決策を示すことができません。
言語化スキルの差は、問題解決やチームのビジョン共有、フィードバックの質にも大きく影響します。的確に言語化できる人は、チームの方向性を明確にし、メンバー一人ひとりが何をすべきかを理解しやすくします。
リーダーシップは育成可能なスキル
リーダーシップは生まれ持った資質だけで決まるものではなく、後天的に身につけられるスキルです。自分の強みと弱みを客観的に分析し、意識的に改善していくことで、誰でもリーダーシップを発揮できるようになります。
日々の業務の中で主体的に行動し、コミュニケーションを大切にし、責任をもって仕事に取り組む習慣をつけることが第一歩です。また、メンバーの強みを活かし、長期的な視点で物事を捉える訓練も重要です。
リーダーシップを発揮できるようになると、自分自身の成長だけでなく、周囲の人々や組織全体にも良い影響を与えることができます。まずは今日から小さな変化を始めてみてはいかがでしょうか。あなた自身の成長が周囲に良い影響を与え、組織全体を前進させることにつながります。
この記事を書いた人

木暮太一
(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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