結果を出している組織が「1on1」の前にやっていること

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ここ数年、多くの企業で『 1on1 』が導入されています。この1on1が部下との関係性構築やモチベーション向上に大きな効果があることは、実際に取り組まれている現場からも数多く報告されています。しかし、ぼくが様々な企業の1on1を見てきた中で感じるのは、「対話の質を高める根本的なスキル」がもう少し強化されれば、さらに大きな成果を生み出せるのではないかということです。

1on1を導入するにあたり、多くの企業が1on1研修を実施しています。従来の1on1研修では、傾聴スキルや質問技法といった「相手から話を引き出す技術」に重点が置かれがちですが、実際の現場では管理職自身が「自分の考えや感情を適切に言語化して伝える力」も同じくらい重要になります。この「言語化力」を組み合わせることで、1on1の対話はより深く、より実践的なものになると考えています。

1on1研修が注目される背景とその効果

1on1研修が企業研修の中でも特に注目されている理由は明確です。従来の評価面談とは異なり、部下の成長支援に特化した定期的な対話の場を設けることで、組織全体のエンゲージメント向上や離職率の改善に直結する効果が期待できるからです。

実際に多くの企業で実施されている1on1研修では、管理職が部下との信頼関係を築くための傾聴スキルや、相手の本音を引き出すための効果的な質問技法を学びます。これらのスキルは確実に成果を生み出しており、「部下が以前より積極的に相談してくれるようになった」「チーム内のコミュニケーションが活発になった」といった声を多く聞きます。

また、1on1の導入により部下の成長意欲が高まり、結果として業績向上につながったという事例も珍しくありません。相手の話をしっかりと聞き、適切な質問を投げかけることで、部下自身が課題を整理し、解決策を見つけていく。このプロセスは確実に組織の力を底上げしています。

さらに効果が出る、もう一つのスキル

こうした1on1研修の効果を認めた上で、ぼくが「欲を言えば」と感じるのは、管理職側の「表現力」です。リーダー側の伝える力・状況を特定して表現する力・指導する力にもう少し焦点が当てられていたら、もっと大きな成果を発揮できると思うのです。

現在の多くの1on1研修では、「聞く技術」に重点が置かれています。もちろんこれは非常に重要で、傾聴や質問のスキルなくして良い1on1は成り立ちません。しかし実際の現場では、管理職自身が自分の考えや方針、期待することを明確に伝える場面も数多くあります。

例えば、部下から「今の仕事にやりがいを感じられない」という相談を受けたとき。傾聴スキルがあれば相手の気持ちは十分に受け止められますが、その後で管理職として何を伝えるべきか、どう表現すれば相手の心に響くのかという場面では、また別のスキルが必要になります。

また、部下の成長のために厳しいフィードバックを伝えなければならない場面や、組織の方向性について説明する場面でも、「正確に、かつ相手に響く形で自分の考えを言語化する力」が求められます。聞く力だけでは、真に対等で建設的な対話は生まれにくいのが現実です。

言語化プログラムで1on1の質をさらに高める

この課題に対して、ぼくらが提案しているのが「言語化プログラム」を組み合わせたアプローチです。

言語化プログラムでは、管理職が自分の思考や感情を整理し、明確にし、それを相手に分かりやすく伝える技術を体系的に学びます。具体的には、複雑な状況を整理して話す構造化スキル、相手の状況に応じて伝え方を調整する表現技法、そして自分自身の感情や価値観を明確に言葉にするスキルなどです。

これらのスキルを身につけることで、1on1の場面での管理職の発言がより具体的で説得力のあるものになります。部下から相談を受けたときに、単に「頑張って」と励ますのではなく、なぜその課題が重要なのか、どのような成長につながるのかを論理的かつ感情に訴える形で表現できるようになります。

また、言語化力が向上することで、管理職自身も自分の考えを整理しながら話すことができるため、1on1の時間がより有意義なものになります。相手の話を聞きながら、同時に自分の考えも明確化していく。このような双方向の深い対話こそが、真の意味での1on1の価値を生み出すのではないでしょうか。

より実践的で持続可能な1on1を目指して

1on1研修の効果は疑いようがありません。しかし、その効果をさらに高め、より実践的で持続可能なものにするために、「聞く力」と「伝える力」をバランスよく育成することが重要だとぼくは考えています。

言語化プログラムを組み合わせることで、管理職は単なる聞き役を超えて、部下との真に対等な対話を実現できるようになります。その結果、1on1は一方的な相談の場ではなく、お互いが成長し合える場へと発展していくはずです。

これからの時代に求められるのは、より深く、より実践的な組織内コミュニケーション。そのための基盤として、従来の1on1研修に言語化力の視点を加えてみることをお勧めします。

この記事を書いた人

木暮太一 写真

木暮太一

(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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