プレゼン研修の効果を最大化するために、追加すべき要素

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多くの企業でプレゼンテーション研修が実施されていますね。資料作成のテクニックから話し方のコツまで、実践的なスキルを学べる貴重な機会として定着しています。ぼくも数多くの研修を見てきましたが、確かに参加者の発表スキルは目に見えて向上し、自信を持って人前で話せるようになる方が多いのは事実です。

しかし、研修後の現場で「あれ、なんだか思うようにいかないな」と感じる場面に遭遇することはありませんか?
技術は身についたはずなのに、肝心な場面で相手に響かない、思いが伝わらない。そんなもどかしさを感じる方も少なくないのではないでしょうか。実は、多くのプレゼン研修には見落とされがちな重要な要素があります。それが「自分の考えを言語化する力」なのです。

従来のプレゼン研修の確かな価値と効果

まず、一般的に行われているプレゼンテーション研修の効果について整理してみましょう。これらの研修では、主に以下のような内容が扱われています。

資料作成のテクニックでは、見やすいスライドデザインの原則、効果的なグラフの使い方、文字サイズや色使いなどの基本的なルールを学びます。PowerPointやKeynoteといったツールの操作方法も含まれることが多く、これまで我流でやっていた方にとっては目から鱗の内容でしょう。

話し方・伝え方のスキルについても充実しています。声の大きさや話すスピード、アイコンタクトの取り方、ジェスチャーの使い方など、聞き手に好印象を与えるための具体的な技術を実践的に学べます。緊張対策やQ&Aセッションの進め方なども含まれ、プレゼンに対する不安を軽減する効果も期待できます。

さらに、構成・ストーリーテリングの部分では、導入・本論・結論の基本構造や、PREP法(Point・Reason・Example・Point)といった論理的な組み立て方を習得できます。聞き手の興味を引く冒頭の作り方や、印象に残る締めくくり方なども学べるため、プレゼンテーションの骨格がしっかりと身につきます。

これらの要素が組み合わさった研修を受けると、多くの参加者が「プレゼンに対する苦手意識が薄れた」「人前で話すことに自信が持てるようになった」という感想を持ちます。実際、研修直後に行う発表練習では、見違えるほど堂々とした姿を見せる方も少なくありません。

「伝える技術」だけでは届かない壁

ただし、ぼくがこれまで多くの研修現場を見てきて感じるのは、「伝え方」はよくても、「伝える内容」が曖昧なまま終わっているということです。

現在の多くのプレゼン研修は、「どう伝えるか」という技術面に重点が置かれています。確かにこれは重要で、基礎として必要不可欠な部分です。しかし、現実のビジネスシーンでは「何を伝えるか」が曖昧で、そこが曖昧だから相手に響かないということが意外に多いのです。

例えば、新商品の提案をする場面を考えてみてください。資料は美しく作られ、話し方も上手で、構成も論理的。でも肝心の「なぜこの商品が必要なのか」「どんな価値を提供できるのか」という部分が曖昧だったらどうでしょうか。聞き手は「なんとなく分かったような気がするけど、結局何が言いたいのかよく分からない」という印象を持ってしまうかもしれません。

これは、プレゼンターが自分の考えを十分に言語化できていないことに起因することが多いのです。頭の中にはぼんやりとしたイメージがあるものの、それを明確な言葉に変換する過程が不十分だったり、相手に響く表現を見つけられていなかったりするのです。

言語化プログラムが補完する「明確にする力」

そこでぼくが提案したいのが、従来のプレゼン研修に「言語化プログラム」の要素を組み込むというアプローチです。

言語化プログラムでは、まず「自分の考えを整理する技術」から始まります。漠然とした思いや感情を具体的な言葉に変換する方法、複雑な状況を分析して要点を抽出する手法、自分の価値観や信念を明確にする思考プロセスなどを学びます。これにより、プレゼンテーションの土台となる「伝えるべき内容」が明確になります。

次に「相手に響く表現を見つける技術」です。同じ内容でも、聞き手の立場や関心事に合わせて表現を調整することで、伝わり方は大きく変わります。相手の背景を理解し、その人たちが共感できる言葉を選び出す技術は、単なる話し方のテクニックを超えた深いコミュニケーションスキルと言えるでしょう。

さらに「論理と感情のバランスを取る表現力」も重要な要素です。データや事実だけでは人は動きませんが、感情に訴えるだけでも説得力に欠けます。論理的な裏付けを持ちながら、同時に聞き手の心に響く表現を組み立てる技術を身につけることで、真に影響力のあるプレゼンテーションが可能になります。

技術と思考の両輪で真の成果を

従来のプレゼン研修で学ぶ「伝える技術」と、言語化プログラムで培う「考える力」。この両方が組み合わさることで、初めて本当に相手を動かすプレゼンテーションが実現できるのではないでしょうか。

技術だけでは表面的な上手さに留まってしまい、内容だけでは相手に届かない。しかし、この二つが調和したとき、プレゼンテーションは単なる情報伝達の手段を超えて、人と人をつなぐ強力なコミュニケーションツールとなります。

ぼくは、多くの企業がすでに実施している優れたプレゼン研修に、この言語化という視点を加えることで、より実践的で効果的な学習体験を提供できると確信しています。参加者の皆さんが、研修で学んだスキルを現場で十分に活かし、真の意味で「伝わる」プレゼンテーションを実現できるようになることを願っています。

この記事を書いた人

木暮太一 写真

木暮太一

(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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