メンタルヘルス研修をさらに効果的にする方法

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ここ数年、多くの企業がメンタルヘルス・ウェルビーイング向上研修に力を入れています。ストレス社会と呼ばれる現代において、従業員の心の健康を守ることは企業の重要な責務であり、生産性向上にも直結する投資として注目されています。実際、こうした研修を通じてストレスマネジメントの手法を学んだり、職場環境の改善について考える機会を得られることは、働く人にとって非常に価値のあることです。

しかし、ぼくが多くの研修を見てきた中で感じるのは、「知識としては理解できるけれど、実際の現場でどう活用すればいいのかが曖昧になってしまう」という課題です。せっかくの良い内容も、日常業務の中で具体的にどう実践するかまで落とし込めていないケースが多いのが現状です。

メンタルヘルス研修の価値は間違いなく高い

まず最初に言っておきたいのは、現在多くの企業で実施されているメンタルヘルス・ウェルビーイング向上研修は、本当に意義深い取り組みだということです。

これらの研修では、ストレスの仕組みやメンタルヘルス不調のサインを学んだり、セルフケアの重要性について理解を深めたりします。また、管理職向けには部下のメンタルヘルス状況をどう察知し、どのようにサポートするかといった具体的なスキルも教えてくれます。

特に素晴らしいのは、メンタルヘルスに関する正しい知識を体系的に学べることです。うつ病や適応障害といった精神的な不調について、偏見を取り除き、科学的な理解を促進する内容は非常に価値があります。「気持ちの問題」として片付けられがちだった分野に、きちんとした理論的背景を与えてくれるからです。

また、ワークライフバランスの重要性や、職場での人間関係の築き方、効果的なコミュニケーション方法なども学べます。これらは、単にメンタルヘルスの維持だけでなく、組織全体のパフォーマンス向上にも寄与する内容です。

さらに効果を高める、もう1つの要素

ただし、ぼくがこうした研修を見ていて感じるのは、「さらに効果を高める余地がある」という点です。

多くの研修では、ストレスへの対処法として「適度な運動」「十分な睡眠」「バランスの取れた食事」といった一般論が語られます。もちろん、これらは間違いなく重要です。しかし、実際の職場では「そうは言っても、残業続きで運動する時間なんてない」「プロジェクトの締切に追われて、睡眠時間を削らざるを得ない」といった現実があります。

つまり、理論としては理解できても、自分の具体的な状況にどう当てはめればいいのかが分からないまま研修が終わってしまうケースが多いのです。

また、「ストレスを感じたら上司や同僚に相談しましょう」というアドバイスも頻繁に出てきますが、実際には「どんな言葉で相談すればいいのか」「相談しても理解してもらえなかったらどうするか」「相談することで評価に影響しないか」といった不安が先に立ってしまいます。

さらに言えば、メンタルヘルスの問題は非常に個人差が大きい分野です。同じストレス要因でも、人によって感じ方や対処の仕方は全く違います。しかし、多くの研修では「一般的な対処法」を一律に教える形になってしまい、受講者一人ひとりの個別性に十分配慮できていないように感じます。

「言語化プログラム」で実践的なスキルを身につける

こうした課題を解決するために、有効なのが「言語化」だと思っています。言語化とは明確化のことです。そして、ぼくらが提供している言語化プログラムは、自分の感情や状況を的確に言葉にする技術を体系的に身につけるプログラムです。メンタルヘルス分野においても、この言語化スキルは極めて重要な役割を果たします。

まず、自分のストレス状況を言語化できるようになることで、漠然とした不安や疲労感を具体的に把握できるようになります。「なんとなく調子が悪い」から「○○の件で○○な不安を感じている」へと変わることで、対処法も明確になります。

また、上司や同僚への相談においても、言語化スキルは威力を発揮します。「最近きついです」という曖昧な表現ではなく、「△△の業務について、□□の部分で困っており、××のようなサポートをいただけると助かります」と具体的に伝えられるようになれば、相手も適切な支援を提供しやすくなります。

さらに、言語化プログラムでは、自分の価値観や強み、キャリアビジョンなども明確にしていくため、仕事に対する意味づけや動機も明確になります。これは、単なるストレス対処を超えて、より積極的なウェルビーイングの向上につながります。

個別性を活かした実践的アプローチ

言語化プログラムのもう一つの利点は、個人の特性や状況に合わせてカスタマイズできることです。

例えば、内向的な性格の人であれば、大勢の前で発言するのではなく、文章で自分の考えをまとめて伝える方法を重点的に練習します。一方、外向的な人であれば、対話を通じて自分の感情を整理する技術を身につけていきます。

また、職種や役職によってもアプローチを変えられます。営業職であれば顧客との関係性におけるストレス、管理職であれば部下マネジメントにおける悩み、といった具体的な場面を想定した言語化練習を行うことで、より実践的なスキルが身につきます。

研修効果を持続させるために

従来のメンタルヘルス研修と言語化プログラムを組み合わせることで、知識だけでなく実践的なスキルを身につけることができます。そして、そのスキルは研修後の日常業務の中でも継続的に活用できるため、研修効果の持続性も格段に向上します。

メンタルヘルス・ウェルビーイング向上は、一時的な知識の習得だけでは実現できません。日々の小さな実践の積み重ねが重要です。言語化プログラムは、その実践を支える具体的なツールを提供し、受講者一人ひとりが自分らしい方法でメンタルヘルスを維持・向上させていけるようサポートします。

企業の皆さんには、ぜひ従来の優れたメンタルヘルス研修に、言語化の要素を加えることを検討していただきたいと思います。きっと、より実効性の高い研修になるはずです。

この記事を書いた人

木暮太一 写真

木暮太一

(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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