『質の高い報連相』が苦手な上司との関係性を一変させる

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「上司に報告しても『で、結局何が言いたいの?』と言われてしまう」「重要な相談をしたいのに、うまく伝わらずチャンスを逃している」そんな悩みを抱える若手ビジネスパーソンは少なくありません。

こんなとき、よく「人間関係を改善させるために、腹を割って話そう」「自分から相手の懐に飛び込んでみよう」など、ポジティブに行動してみようというアドバイスがされます。しかしそれでは状況は変わりません。

こんな時に若手ビジネスパーソンが何を考え、何を身に付けなければいけないか、累計3万人を指導してきた経験から、お伝えします。

なぜ「言語化力」が報連相の質を決定づけるのか

従来の報連相指導の限界と根本課題

多くの企業研修や書籍では「報告は結論から」「相談は選択肢を用意して」といった表面的なテクニックが教えられています。しかし、これらの方法を実践しても、なぜか上司とのコミュニケーションがうまくいかない若手ビジネスパーソンが後を絶ちません。

その理由は明確です。報連相の本質は「単なる情報の伝達」ではなく「相手の理解と納得を得ること」だからです。そして、相手の理解と納得を得るためには、自分の頭の中で整理された情報を、相手が受け取りやすい形に「言語化」する能力が不可欠なのです。そしてそもそも「相手が知りたい内容(相手が必要としている内容)」を語らなければいけません。

例えば「プロジェクトが遅れています」という報告も、言語化力のない人は単に事実を伝えるだけですが、言語化力のある人は「なぜ遅れたのか」「どの程度の影響があるのか」「今後どう対応するのか」を相手が判断しやすい形で整理して伝えます。この違いが、上司からの信頼度を大きく左右するのです。

言語化力が生み出す3つの変化

言語化力を身につけると、報連相において以下の3つの変化が生まれます。

思考の整理力向上 自分が何を伝えたいのか、相手に何を理解してもらいたいのかが明確になります。「なんとなく相談したい」から「具体的に○○について△△の観点で相談したい」に変わるのです。

相手視点での情報構成 上司が知りたい情報の優先順位を理解し、相手の立場に立った情報提供ができるようになります。「自分が話したいこと」ではなく「相手が聞きたいこと」を中心に組み立てられるのです。

問題解決思考の獲得 単なる報告や相談ではなく、「この情報をもとに、どんな判断や行動につなげるべきか」まで考えて伝えられるようになります。上司にとって「一緒に考えてくれる部下」として認識されるのです。

言語化力不足が生む悪循環の実態

ぼくが指導してきた多くの若手ビジネスパーソンは、言語化力不足により以下のような悪循環に陥っていました。

「うまく伝えられない→上司に理解してもらえない→自信を失う→さらに伝えるのが苦手になる→重要な情報共有を避けるようになる→上司からの信頼を失う→キャリアアップの機会を逃す」

この悪循環を断ち切るためには、表面的な話し方のテクニックではなく、根本的な言語化力の向上が必要です。言語化力が身につくと、自分の考えを整理する習慣が生まれ、相手の立場で物事を考える視点が養われ、結果として報連相の質が飛躍的に向上するのです。

言語化力を活用した効果的な報連相の実践方法

段階的な言語化スキル習得のステップ

言語化力を報連相に活かすためには、以下の3段階のステップで習得していくことが効果的です。

ステップ1:自己対話による思考整理 
まず、報告や相談をする前に「自分は何を伝えたいのか」を言語化する習慣をつけます。具体的には、以下の3つの質問を自分に投げかけてください。

今回の件で最も重要なポイントは何か? 相手(上司)が知りたいと思う情報は何か? この情報をもとに、相手にどんな判断や行動を求めているか?

これらの質問に答えることで、漠然とした思考が整理され、相手に伝えるべき核心が明確になります。

ステップ2:相手視点での情報再構成 
次に、整理した情報を相手の立場で再構成します。上司の関心事、時間的制約、決裁権限などを考慮して、情報の優先順位を決めるのです。

例えば、プロジェクトの進捗報告であれば、上司は「全体のスケジュールへの影響」「顧客への影響」「追加コストの発生」「チームメンバーへの負荷」といった経営的な観点で情報を求めています。技術的な詳細よりも、これらの観点での影響度を言語化して伝えることが重要です。

ステップ3:対話による理解確認と調整 
最後に、伝えた内容が相手に正しく理解されているかを確認し、必要に応じて情報を追加・修正します。「今お話しした内容で、○○の部分についてご質問はありませんか?」「追加で必要な情報があれば教えてください」といった確認により、一方的な情報提供ではなく双方向のコミュニケーションを実現します。

実践的な言語化フレームワークの活用

報連相の場面別に、言語化を助けるフレームワークを活用することで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。

報告の言語化フレームワーク「PREP+I」
P(Point):結論・要点
R(Reason):理由・根拠
E(Example):具体例・事実
P(Point):結論の再確認
I(Impact):影響・今後の対応

このフレームワークに沿って情報を整理することで、相手が理解しやすい順序で報告できます。

相談の言語化フレームワーク「SCRAP」 
S(Situation):現在の状況
C(Challenge):課題・問題点
R(Resource):利用可能なリソース
A(Alternative):考えられる選択肢
P(Preference):自分の考え・推奨案

相談する際は、単に問題を投げかけるのではなく、自分なりの分析と提案を含めて言語化することで、上司との建設的な議論が可能になります。

継続的な改善のための振り返り手法

言語化力の向上は一朝一夕には実現しません。日々の実践と振り返りを通じて、徐々にスキルを高めていく必要があります。

日次振り返りの実践 
今日の会話を振り返る 今日一日の上司との会話を思い出し、「もっと良い伝え方があったか?」を考えてみてください。

言語化の質をチェックする 「相手は理解してくれたか?」「追加の質問が多かったか?」「期待した反応が得られたか?」を評価してください。改善点を具体化する 明日から実践できる具体的な改善点を1つ決めてください。「次回は結論を最初に言う」「相手の関心事を事前に考える」など、小さな変化から始めることが重要です。

週次での成長確認 
言語化スキルの向上を実感するために、週に一度は以下の点を確認しましょう。

上司からのフィードバックの変化 「分かりやすくなった」「要点が明確だった」といったポジティブなフィードバックが増えているかを確認してください。

コミュニケーション時間の短縮 同じ内容を伝えるのに必要な時間が短くなっているか、相手からの確認質問が減っているかをチェックしてください。

信頼関係の向上 上司から相談を受ける機会が増えた、重要な案件を任されるようになったなど、関係性の変化を観察してください。

まとめ

若手ビジネスパーソンのキャリアアップにおいて、上司との効果的なコミュニケーションは欠かせません。多くの人が「報連相のテクニック」を学ぼうとしますが、その根本にある「言語化力」を身につけることで、コミュニケーション全体が劇的に改善されます。

言語化力が向上すると、思考の整理ができ、相手視点での情報構成が可能になり、問題解決思考が身につきます。これにより、単なる情報伝達者から「一緒に考えてくれる部下」へと成長できるのです。

今日から実践できることは、報告や相談の前に3つの質問を自分に投げかけることです。「何を伝えたいか?」「相手が知りたいことは何か?」「どんな判断や行動を求めているか?」この習慣だけでも、あなたのコミュニケーションは確実に変わります。

ぼくが2000社をサポートし、累計3万人を指導してきた経験から断言できるのは、言語化力こそが若手ビジネスパーソンの成長を加速させる最強のスキルだということです。今日から少しずつでも実践してみてください。あなたのキャリアは必ず変わります。

FAQ(よくある質問)

Q: 言語化力を身につけるのにどれくらいの期間が必要ですか?

A: 個人差はありますが、日々の実践を続けることで、3ヶ月程度で周囲から「伝え方が上手になった」と言われるレベルに到達できます。ただし、言語化力は継続的に向上していくスキルなので、長期的な視点で取り組むことが重要です。毎日の小さな積み重ねが、大きな変化をもたらします。

Q: 上司が忙しくて話を聞いてくれない場合はどうすればいいですか?

A: むしろ忙しい上司ほど、言語化力の高い部下を評価します。限られた時間で要点を的確に伝えられる部下は、上司にとって非常に価値のある存在だからです。まずは「3分でお時間をいただけますか」と前置きして、その時間内で核心を伝える練習をしてみてください。伝える力が向上すれば、上司も積極的に時間を作ってくれるようになります。

Q: 自分の言語化力が向上しているかどうか、どうやって判断すればいいですか?

A: 最も分かりやすい指標は「相手からの質問の質」です。言語化力が向上すると、相手からの確認質問が減り、より具体的で建設的な質問が増えます。また、「君の報告は分かりやすい」「相談しやすい」といった直接的なフィードバックや、重要な案件を任される機会の増加も成長の証です。定期的に上司にフィードバックを求めることで、客観的な評価を得ることも大切です。

この記事を書いた人

木暮太一 写真

木暮太一

(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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