「指示が曖昧」が部下の悩み第1位。2026年の調査が示す、言語化が組織を変える理由

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部下の62.3%が上司との関わりで困っている。その理由の第1位は「指示が曖昧」(43.2%)。
2026年5月に実施されたJob総研の「上司と部下の意識調査」が示したこの数字は、多くの職場で起きていることを言い当てています。

今回は、2026年に発表された国内外の調査・研究をもとに、「言語化」が職場の成果と心理的安全性にどうつながるのかを整理します。

1. 「期待されていること」が分からない社員は、半数以上

Gallupが2026年7月に発表した米国の調査では、「自分に何が期待されているかを明確に理解している」と強く同意した社員は49%にとどまりました。2015年のピーク時は61%。エンゲージメント全体が31%で横ばいのなか、「期待の明確さ」は改善余地が最も大きい指標として残っています。

さらに、HR調査会社McLean & Co.の分析では、職務上の期待を理解している社員はそうでない社員の8.6倍エンゲージメントが高く、評価基準が不明確な組織では社員のストレス報告が1.27倍になることが分かりました。

期待の言語化は「あったほうがいい」ものではなく、意欲・ストレス・離職という経営コストに直結する変数なのです。

2. 上司も「育成が一番難しい」と自覚している

国内の管理職はどうでしょうか。リクルートマネジメントソリューションズが2026年6月に行った調査では、管理職層の78%が自身のマネジメントに課題感を持っていました。最も重要な役割として挙げたのは「メンバー育成」(46%)。しかし同時に、最も難しい業務も「育成・能力開発」(54%)でした。

Job総研の調査では、部下が最も知りたいのは「自分に期待していること」(38%)、上司が最も知りたいのは「理想の指導方法」(48.5%)。つまり、上司も部下も「どう伝えればいいか/何を伝えてほしいか」で止まっているのです。

これはやる気や性格の問題ではなく、言語化のスキルと型が不足している問題です。

3. 心理的安全性は「優しさ」ではなく「明示する力」から生まれる

2026年2月にFrontiers in Psychologyに掲載された研究は、心理的安全性を高めるリーダー行動を5つの領域に整理しました。その中核にあったのが「暗黙の期待を明示化する率直な対話」です。

心理的安全性の高いチームとは、何でも許される場ではありません。「何を期待されているか」「何がよい仕事か」「結果責任はどう扱われるか」が言葉で共有され、だからこそ安心して発言や挑戦ができるチームです。

言語化は、心理的安全性を作る土台そのものだといえます。

4. それでも、言語化スキルの研修はほとんど行われていない

Talent Strategy Groupが250社超を対象に行った「2026 Performance Management Report」によると、目標設定研修を必須にしている組織は21%、フィードバック研修は18%、評価研修は19%。一方で、文書化されたフィードバック面談は評価の有効性認知を16〜17%高めるという結果も出ています。

効果が証明されているのに、最も投資されていない。それが管理職の言語化スキル領域の現状です。

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これらの調査から導ける、組織での実践ポイントは3つです。

  1. 期待を「成果」と「行動」の両面で、3文以内に言語化する。基準は絞り、全社目標との接続を示す。
  2. 年3〜4回の面談を文書に残す。書くことで上司自身の思考が整理され、部下との認識差が可視化される。
  3. 効果を測る。部下の「期待理解度」「上司の指示の明確さ」を受講前後で比較する。心理的安全性スコアやストレスチェックとの相関も追う。

「指示が曖昧」という部下の悩みは、上司の言語化によって解決できる悩みです。そしてそれは、組織の成果と心理的安全性の両方を同時に引き上げる、最も費用対効果の高い投資のひとつです。


参考

  • Gallup「Employee Engagement Remains Flat as AI Adoption Accelerates」(2026年7月)
  • McLean & Co./HR Dive(2026年4月)
  • Talent Strategy Group「2026 Performance Management Report」
  • Job総研「2026年 上司と部下の意識調査」(2026年5月)
  • リクルートマネジメントソリューションズ「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2026」(2026年6月)
  • Frontiers in Psychology「Psychological Safety in Interdisciplinary Teams」(2026年2月)

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この記事を書いた人

木暮太一 写真

木暮太一

(一社)言語化コミュニケーション 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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