組織の成功には優秀なメンバーの確保が不可欠ですが、多くの企業が人材流出に悩んでいます。人材流出の原因として浮かび上がってくるのが「上司」の存在です。転職理由の上位は上司だというデータもあります。
本記事では、上司が退職理由となる実態と、メンバーを定着させる良い上司と、ダメな上司の特徴を解説します。メンバーを定着させるために、組織としてどのように取り組めばいいかも解説しますので、参考にしてみてください。
退職理由の実態:上司の影響力
リクルートエージェントの調査(※)によると、転職のきっかけランキングの3位は「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」でした。同調査では「会社のビジョンが明確でなかった」ことも退職理由として挙げられています。
上司が退職理由のトップクラスな理由は、結局のところ「職場環境≒上司との関係」だからです。上司がメンバーの日々の業務や職場環境に直接的な影響を与えていますね。良い上司は部下のモチベーションを高め、成長を促進します。一方で、問題のある上司は部下のストレスを増大させ、仕事の満足度を低下させてしまいます。
上司の存在が転職に結びつく理由は以下のとおりです。
- 上司は日々の業務指示や評価を行う立場にあり、メンバーの仕事生活に直接影響するから
- 上司は部下の成長やキャリア形成に大きな影響力を持つから
- 上司の言動や態度が職場の雰囲気を左右し、メンバーのモチベーションに影響するから
上司は、自らの行動が多くのメンバーに影響を与える事実を理解しなければいけません。
※ 出典:リクルートエージェント(外部サイト)
メンバーを定着させる「良い上司」の特徴
メンバーを定着させる良い上司には、以下のような特徴があります。
- 明確な指示を出す
- 論理的な指導ができる
- 適切なフィードバックを行う
- 組織のビジョンを明確に伝える
良い上司は具体的で明確な指示を出します。例えば「〇〇という目的のために、××を△△までに作成してください」のような、目的とタスク、期限が明確な指示です。客観的な事実や数値にもとづいて論理的な指導を行い、メンバーの成長を支援します。
定期的な1on1ミーティングを実施し、適切なフィードバックを行うことも重要です。メンバーは自分の強みや改善点を理解し、目標がはっきりします。明確な指示を出す上司のもとでは、メンバーは自分の役割と成長の方向性を理解し、モチベーション高く業務に取り組むことが可能です。
メンバーを退職させてしまう「ダメな上司」の特徴
メンバーの退職を招いてしまうダメな上司には、以下のような特徴があります。
- 曖昧な指示を出す
- 非論理的な指導をする
- コミュニケーションが不足している
- ビジョンを明確に示せない
ダメな上司は具体性に欠ける曖昧な指示を出します。「いい感じで仕上げて」「なんとなくわかるでしょ」といった言葉では、メンバーは何をすべきか理解できません。不安や混乱を感じてしまいます。感情に任せた心無い言葉や、根拠のない評価など、非論理的な指導をすることでメンバーの信頼を失います。
コミュニケーション不足も大きな問題です。フィードバックを与えない、メンバーとの対話を避ける上司のもとでは、メンバーは自分の成長を実感できません。組織の方向性や目標を具体的に説明できない上司は、メンバーに明確な目標を与えられず、モチベーションの低下を招きます。
ダメな上司の特徴を持つ上司のもとでは、メンバーは目標を見失い、自身の成長を実感できません。最終的に退職を考えるようになってしまいます。
良い上司を育成するための組織の取り組み
良い上司は組織的な取り組みによって育成できます。効果的な施策はマネジメント研修の実施です。リーダーシップやコミュニケーション、目標設定などのスキルを学ぶ機会を提供することで、上司の能力向上を図ります。
360度評価の導入により、上司の行動や能力を多角的に評価し、改善点を明確にするのも効果的です。メンター制度の活用も有効です。経験豊富な上級管理職が若手管理職の相談役となり、成長を支援します。組織全体のマネジメント能力を向上させることが可能です。
上司自身ができる改善策
良い上司になるために、個人レベルでもさまざまな取り組みが可能です。マネジメント関連の書籍を読んだり、セミナーに参加したりするなど、継続的に学習することが大切です。コミュニケーション向上を図るため、上司が考えていることを明確にし、同時にメンバーが考えていることを明確に引き出してあげましょう。定期的な1on1を実施するのも効果的です。
部下の育成計画を策定することも重要です。各メンバーの強みと弱み、キャリア志向を把握することで、より効果的な指導が可能になります。経営陣とのコミュニケーションを密にし、ビジョンを自分の言葉で説明できるようになるのも大切です。
まとめ:良い上司が組織を強くする
良い上司の存在は、単にメンバーの定着率を向上させるだけではありません。以下の3点において、組織全体の強化につながります。
- メンバーの定着率向上が組織力向上につながる
- 上司の成長が組織全体の成長を促進する
- 明確なビジョンの共有が組織の一体感を生む
良い上司の存在は組織の成功に不可欠です。企業は上司の育成に積極的に投資し、個々の管理職も自己研鑽に努めることが重要です。上司が成長すれば、メンバーの定着率が向上し、組織全体の成長と発展につながります。
人材の流出を防ぎ、強い組織を作るためには良い上司の存在が鍵です。本記事で紹介した施策や改善策を参考に、自社の状況に合わせた取り組みを始めてみましょう。
この記事を書いた人
木暮太一
慶應義塾大学 経済学部を卒業後、富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て独立。
1万部売れればヒットといわれる業界で、平均7万部(直近2年)の実績を誇る「連続ベストセラー作家」。
出版社を10年経営しながら得た出版ノウハウは「業界No1」と圧倒的な評価を得ており、プロデュースした著者の書籍は2000冊を超えている。
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