
会社の会議室に集まり、資料を広げながらため息をつく光景を目にします。多くの企業で、本当に必要な会議なのかと疑問を感じる場面が少なくありません。会議の数を数えると週に20回を超える組織もあり、1日の大半を会議に費やしているビジネスパーソンもいます。会議は重要なコミュニケーションの場ですが、実は組織の生産性を大きく下げている要因になっているのです。
無意味な会議が社員を疲弊させている
よく耳にするのが「うちの会社は会議が多すぎる」という不満です。確かに日本企業の会議の数は、欧米企業と比較してもかなり多いと言われています。ただ、会議の数が多いこと自体は、必ずしも問題ではありません。むしろ問題なのは、その会議で何を話し合い、どんな結論を出すべきかが明確になっていないことです。
たとえば、毎週月曜日の朝に全体会議や定例会議を行っている会社があります。多くの企業で実施されていますが、その会議で何を話し合うべきかが見えていません。そのため、ほとんどの時間が各部署からの報告で終わってしまい、結果として「情報共有の場」になっているケースがほとんどです。情報共有自体は必要ですが、わざわざ全員が集まって共有する必要があるでしょうか。
以前、ある企業のコンサルティングをさせていただいた時のことです。その会社では毎週3回、朝礼を実施していました。朝礼といっても30分以上かかる大がかりなもので、社長の訓示に始まり、各部署からの報告が延々と続きます。しかし実際には、その情報のほとんどがメールやチャットで十分に伝えられる内容でした。
無駄な会議が発生してしまう理由
では、なぜこのような会議が続けられているのでしょうか。それは、会議の目的が言語化されていないからです。会議の目的とは、「この会議で何を決めるのか」を明確にすることです。情報共有が目的なのか、問題解決が目的なのか、意思決定が目的なのか。これが明確になっていれば、必要な人だけを集めることができますし、必要な時間も自ずと見えてきます。
特に定例会議は要注意です。定例会議の多くは、「毎週この時間にやることになっているから」という理由だけで続けられています。本来であれば、その会議で何を決めるのかを明確にし、その目的に沿った議題がない場合は開催を見送るべきです。それができていないために、ただ集まって時間を消費するだけの会議が続いているのです。
会議を減らすためには、まず既存の会議を3つの観点で整理する必要があります。
1つ目は「目的の言語化」です。その会議で何を決めるのか、どんな結論を出すのかを明確にします。たとえば「クライアントへの提案内容を決める」「来期の予算配分を決める」など、具体的な到達点を示す必要があります。
2つ目は「参加者の言語化」です。その目的を達成するために、誰が必要なのかを明確にします。意思決定に関係ない人を呼んでいないか、必要な人が呼ばれていないことはないか、を確認します。
3つ目は「時間の言語化」です。その目的を達成するために、どれくらいの時間が必要なのかを明確にします。1時間の会議なら、45分で結論を出し、残り15分で次のアクションを決める、というように時間配分を決めておきます。
これらを整理した結果、ある企業では週20回あった会議を8回まで減らすことができました。さらに重要なのは、残った会議の質が格段に向上したことです。目的が明確になったことで、参加者が事前準備をするようになり、建設的な議論ができるようになったのです。
会議を減らすことで得られる効果は、時間の節約だけではありません。むしろ、組織全体のコミュニケーションの質が向上することの方が重要です。必要な会議に集中できるようになり、その分野の議論も深まります。また、不要な会議がなくなることで、メンバーの心理的な負担も軽減されます。たとえば、ある企業では週に一度の営業会議を廃止し、代わりに必要な時だけ関係者が集まって討議する形に変更しました。最初は情報が行き届かなくなるのではという不安の声もありましたが、実際にはチャットツールでの情報共有が活発になり、むしろコミュニケーションは増えたそうです。
ただし、会議を減らす際に注意しなければいけないのは、単純に会議の数を減らせばいいわけではないということです。大事なのは、本当に必要な会議を見極め、その会議の質を高めることです。そのためには、会議の目的を明確にし、その目的に沿った運営ができているかを常にチェックする必要があります。
無駄な会議を減らすためにすべきこと
最後に具体的なアクションとして、以下の3つを提案します。
まず、既存の定例会議をすべて洗い出し、それぞれの目的を明確にします。目的が曖昧な会議は、一度すべて止めてみることをお勧めします。本当に必要な会議であれば、必ず復活の声が上がるはずです。次に、残した会議については、アジェンダと時間配分を明確にします。「この時間でここまで決める」という具体的な目標を設定し、それに向けて議論を進めます。そして最後に、会議の結果を評価する仕組みを作ります。目的は達成できたか、時間は適切だったか、参加者は適切だったか、を振り返ることで、次回の改善につなげることができます。
会議の見直しは、組織を変えるための大きな一歩になります。無駄な会議を減らし、本当に必要な議論に集中することで、組織の生産性は確実に向上していきます。まずは自分の組織の会議を見直してみませんか。
この記事を書いた人
木暮太一
(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。
お問い合わせ
さまざまなビジネスシーンでお悩みのことはありませんか?
個人向けに3万人以上、法人向けに200社以上指導した
言語化メソッドと経験を用いて、御社のお悩みを解決します。
まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
お電話でのお問い合わせはこちら
【受付時間】平日 9:00~18:00

