
ビジネスの場で自分の考えをうまく伝えられず、悔しい、もしくは恥ずかしい思いをした経験はないでしょうか。実は話し方の上手い人は、誰でも意識的なトレーニングを重ねています。今回は、3週間で実感できる言語化トレーニングの方法をご紹介します。多くの実践者が確かな成果を実感している内容です。
なぜ言語化トレーニングが必要なのか
多くの人は「言葉は自然に出てくるもの」と考えています。確かに日常会話であれば、特に意識しなくても言葉は出てきます。しかし、ビジネスの場面で求められるのは、相手に正確に伝わる言葉です。これは意識的なトレーニングなしには身につきません。
ぼくが研修に入っている企業のマネージャーさんは、研修後にご自身の発言を振り返ってこう語っていました。
「部下への指示が曖昧で、意図が伝わっていないことが多々ありました。『いい感じにまとめておいて』『もっと工夫して』など、具体性に欠ける指示を出していたと思います」
Week1:自分の言葉を書き出す習慣をつける
トレーニング1週目は、まず自分の言葉を意識的に書き出す習慣をつけます。毎朝10分、今日話そうと思っていることを箇条書きにしてみましょう。この時に気をつけることは、抽象的な表現を使わないことです。
新入社員のメンバーでも、このトレーニングを始めてから大きな変化を感じています。「配属されて半年、会議では『はい』と『わかりました』しか言えない状態でした。上司からは『もっと積極的に発言するように』と指導されていましたが、何を話していいかわかりませんでした」
この新入社員は毎朝10分間、その日の会議で話すことを書き出す練習を始めました。特に意識したのは以下の3点です。
- ・数字を含めた具体的な報告内容
- ・気になっている課題
- ・自分なりの提案
Week2:言い換えトレーニングを始める
2週目は、言い換えの練習です。一つの内容を3通りの言い方で表現する訓練を行います。ある営業職の方は、この訓練で大きな成果を上げました。
「以前は商談の場で言葉に詰まることが多く、自信が持てませんでした。特に価格交渉になると、なぜその金額なのかを説明できず、値引きに応じてしまうことが多かったです」
この方は、商品の価値を3つの視点で言い換える練習を始めました。
- ・お客様に与えるベネフィット:「この商品で○○の業務効率が30%向上します」
- ・競合他社との違い(差別化):「独自の技術で、業界最速の処理が可能です」
- ・導入後の具体的な効果:「初年度で投資額の120%の効果が見込めます」
- 「練習を始めて2週間目から、商談での話し方が変わってきました。お客様への説明が具体的になり、『なるほど、そういう効果があるのか』と言っていただけるようになりました」
Week3:アウトプットを増やす
3週目は、実践的なアウトプットを増やしていきます。以下の3つの練習を毎日行いましょう。
- 1分間スピーチの練習
- 会議での発言を事前に準備
- 相手の質問を予測して答えを用意
- 先ほどのマネージャーは、この時期から指示を出す前に、以下の3点を明確にする習慣をつけました。
- 1)期待する成果物、2)具体的な期限、3)判断基準となる指標
- 「変化は想像以上に早く現れました。部下メンバーが『これでいいですか?』と確認に来る回数が激減し、期待通りの成果を出してくれるようになりました」
言語化トレーニングの具体的な方法
朝のボイストレーニング
出社前の10分間、以下の練習を行います。
- 新聞の見出しを声に出して読む
- 今日話す内容を実際に声に出してみる
- 言い淀みやすい言葉を意識的に練習する
通勤時間の活用
通勤時間を使って、以下のトレーニングを行います。
- ポッドキャストで上手な話し手の話し方を学ぶ
- 心の中で会議でのプレゼンを練習する
- 目に入った広告を分かりやすく説明する練習をする
昼休みの振り返り
昼休みの5分間で、午前中の自分の話し方を振り返ります。「言い淀んだ場面はなかったか」「より適切な表現があったか」「相手の反応はどうだったか」を確認します。
トレーニングの効果を数値で見る
ある企業で20名の社員に3週間のトレーニングを実施したところ、以下のような変化が見られました。
- 会議での発言回数:平均2.3回 → 6.8回
- 提案の採用率:32% → 58%
- コミュニケーションの満足度(相互評価):65点 → 82点
- 特筆すべきは、トレーニング前は「話すのが苦手」と感じていた人の92%が、「以前より話しやすくなった」と回答している点です。
トレーニングで気をつけるポイント
録音して聞き直す
自分の話し方の特徴を知るために、実際の会話を録音して聞き直してみましょう。多くの人は自分の声を聞くのを嫌がりますが、これは非常に効果的な方法です。
フィードバックをもらう
信頼できる同僚や上司に、自分の話し方についてフィードバックをもらいます。特に「話の内容は理解しやすいか」「声の大きさや速さは適切か」「言葉の選び方は適切か」といった点について聞いてみましょう。
目標を具体的に設定する
「上手く話せるようになりたい」という漠然とした目標ではなく、以下のように具体的な目標を設定します。
- 1分間スピーチを途中で詰まらずに話せる
- 会議で最低3回は発言する
- 質問されてから5秒以内に回答を始められる
最後に
言語化力は、ビジネスパーソンにとって最も重要なスキルの一つです。この3週間のトレーニングを通じて、必ず変化を実感できるはずです。トレーニングの効果は、継続することで確実に表れてきます。大切なのは、毎日コツコツと続けることです。まずは今日から、小さな一歩を踏み出してみましょう。
この記事を書いた人
木暮太一
(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。
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