指示待ち若手を「自走する人材」に変える3つの育成法

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指示待ち人間になってしまう若手社員を見て、「もっと主体的に動いてほしい」と感じている人事担当者やリーダーは多いのではないでしょうか。

そしてそういう人材を育成しようと、よかれと思い、詳細なマニュアルを作ったり、細かく指示を出したり、定期的な1on1ミーティングを設けたりと、さまざまな取り組みをされていることでしょう。しかし、これらの方法は実は逆効果になっている可能性があります。

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よかれと思ってやっている「逆効果な育成法」の正体

多くの企業で行われている若手育成方法が、実は指示待ち人間を量産してしまっている現実があります。

詳細すぎるマニュアルが思考力を奪っている

「若手が迷わないように」と作られた分厚いマニュアルや、手順を事細かにチェックリストがあります。これらは一見親切に思えますが、実際は若手から「考える機会」を奪ってしまっています。

マニュアル通りに動けば評価される環境では、「なぜそうするのか」「他にもっと良い方法はないか」といった思考が働かなくなります。結果として、マニュアルにない状況に直面すると、すぐに「どうすればいいですか?」と聞いてくる指示待ち人間が出来上がってしまうのです。

ぼくが支援した企業の中に、業務マニュアルが200ページを超える会社がありました。新入社員はそのマニュアルを覚えることに精一杯で、「なぜその業務が必要なのか」「お客様にとってどんな価値があるのか」を考える余裕がありませんでした。また、少しでもマニュアルから外れると、何をしていいのかわからず立ち往生していました。

過度な1on1が依存体質を作る

「コミュニケーションを取って若手をサポートしよう」という意図で1on1ミーティングを実施している企業は多くあります。しかし、上司が「困ったことはない?」「何かサポートできることはある?」と毎回聞いても、メンバーの頭のなかがまとまっていないため、何も言えません。これでは「指示待ち」からは脱却できません。

ポイントは、「相談できる場」を作ることではなく、「相談しなければいけない点」を自ら見つけ、能動的に相談することです。

失敗を恐れる文化が挑戦を封じている

「失敗させたくない」という優しさから、若手に責任のある仕事を任せなかったり、必ず上司がチェックしてから進めるルールを作ったりする企業も多いです。しかし、失敗の機会を奪われた若手は、いつまでたっても「自分で判断する」経験を積むことができません。責任を持つ経験がないため、当事者意識も育たず、指示されたことだけをこなす受動的な姿勢が定着してしまいます。

このような「よかれと思ってやっている育成方法」は、短期的には効率的に見えるかもしれませんが、長期的には組織の成長を阻害する大きな要因となっているのです。

では、どうすれば若手が自走できるようになるのでしょうか。

自走する若手に共通する「3つの言語化力」

ぼくがこれまで数多くの企業で見てきた自走する若手には、共通した特徴があります。それは「言語化力」の高さです。

目的を言語化する力

自走する若手は、与えられた仕事に対して「なぜこの仕事をするのか」「この仕事を通じて何を実現したいのか」を明確に言葉にすることができます。

目的が言語化できているからこそ、手段は柔軟に変えることができるのです。逆に、目的が曖昧な若手は、手順書通りにやることしかできず、想定外の状況で立ち往生してしまいます。

例えば、「資料作成」という仕事を任されたとき、指示待ちの若手は「どんな資料を作ればいいですか?」「何ページくらいですか?」と手順を聞きたがります。

一方、自走する若手は「この資料は誰が見るのですか?」「どんな判断に使われるのですか?」「最終的にどんな結果を目指しているのですか?」と目的を明確にしようとします。

現状を言語化する力

自走する若手は、今置かれている状況を客観的に把握し、言葉で整理することができます。「何が問題なのか」「何がボトルネックになっているのか」「どこまで進んでいて、何が残っているのか」を明確に言語化できるため、次に取るべき行動を自分で判断できるのです。

現状が言語化できていない若手は、漠然とした不安や焦りを抱えながらも、具体的に何をすればいいのかわからず、結果的に上司に「どうすればいいですか?」と聞くことになります。

解決策を言語化する力

問題に直面したとき、自走する若手は複数の解決策を考え、それぞれのメリット・デメリットを言語化して比較検討することができます。

「Aという方法なら時間はかかるが確実」「Bという方法なら早いがリスクがある」といったように、選択肢を明確に言語化できるからこそ、状況に応じた最適な判断ができるのです。

この3つの言語化力が育つと、若手は自然と自走できるようになります。なぜなら、「考える」という行為が言語化を通じて具体的になり、実行可能になるからです。

実践的な育成アプローチ:「問いかけ」で言語化力を鍛える

では、具体的にどうすれば若手の言語化力を育てることができるのでしょうか。

「なぜ」ではなく「何のために」を問いかける

多くの上司が若手に「なぜそう思うのか?」と聞きますが、実はこれは効果的ではありません。「なぜ」と聞かれると、若手は過去の理由を説明しようとしますが、それでは目的志向の思考は育ちません。

代わりに「何のためにそれをするのか?」「それを通じて何を実現したいのか?」と問いかけてください。この問いかけによって、若手は目的を言語化する練習ができます。

提案型の相談を促す

若手が相談に来たとき、すぐに答えを教えるのではなく、相手に問いかけ、考えてもらう習慣を身に着けさせましょう。ここで考えることは、「ゴール」「ゴールに到達するための作戦」「日々のアクション」の3つです。

ゴール     最終的に何を実現したいのか?
作戦      どういうプランでゴールを達成しようと思っているのか?
アクション   そのために何をするのか

この プロセスを通じて、若手は解決策を言語化する力を身につけていきます。

言語化力を組織全体で向上させる仕組みづくり

個人の言語化力を高めるだけでなく、組織全体で言語化が重視される文化を作ることが重要です。

会議での言語化ルールを設ける

会議では必ず以下の3点を言語化してから発言するルールを作りましょう。

目的認識  何を目指しているのか、何のためにこのテーマを話し合っているのか
課題認識  そのゴールに対して、何が足りないか・できていないか
提案内容  自分たちは今日から何をすればいいか

このルールにより、若手も参加しやすい会議になり、言語化の練習機会が増えます。

評価軸に言語化力を組み込む

人事評価の項目に「課題の言語化」「目的の明確化」「提案力」といった言語化に関する項目を組み込むことで、組織全体で言語化力を重視する姿勢を示すことができます。

言語化プログラムの導入検討

ここまでお伝えしてきた内容を体系的に学び、実践できるようにするために、言語化プログラムの導入を検討してみてください。言語化プログラムでは、若手が自分で考え、自分で判断できるようになるための思考プロセスを具体的に学ぶことができます。また、上司や先輩社員も、若手の言語化力を育てるためのコミュニケーション手法を身につけることができます。

特に、AIの時代においては、人間にしかできない「考える」「判断する」「創造する」といった能力がより重要になります。これらの能力の基盤となるのが言語化力なのです。

まとめ:言語化力が自走する組織をつくる

指示待ち人間を自走する人材に変えるためには、従来の「教える」「管理する」という発想から脱却し、「考える力を育てる」アプローチに転換することが必要です。

そのための最も効果的な方法が、言語化力を高めることです。目的を言語化し、現状を言語化し、解決策を言語化する力が身につけば、若手は自然と自走できるようになります。ぼくがこれまで支援してきた企業では、言語化力を重視した育成を始めて1ヶ月程度で、若手の主体性が明らかに向上し、半年後には「指示待ち社員」で困ることがほぼなくなったという事例が多数あります。

AIの時代だからこそ、人間の「考える力」「言語化する力」の価値は高まっています。今こそ、言語化力を軸とした人材育成に取り組み、自走する組織をつくっていきませんか。

この記事を書いた人

木暮太一 写真

木暮太一

(一社)教育コミュニケーション協会 代表理事・言語化コンサルタント・作家
14歳から、わかりにくいことをわかりやすい言葉に変換することに異常な執着を持つ。学生時代には『資本論』を「言語化」し、解説書を作成。学内で爆発的なヒットを記録した。ビジネスでも「本人は伝えているつもりでも、何も伝わっていない!」状況」を多数目撃し、伝わらない言葉になってしまう真因と、どうすれば相手に伝わる言葉になるのかを研究し続けている。企業のリーダーに向けた言語化プログラム研修、経営者向けのビジネス言語化コンサルティング実績は、年間200件以上、累計3000件を超える。

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